溶かして食べられる包装。UKの学生が開発したラーメンスープになるパッケージ

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日本ではお馴染みの、そしていまや世界的に人気のあるラーメン。家で気軽に食べられるインスタントラーメンは、欧米の一般的なスーパーなどでも見かけられるようになった。しかし、インスタントラーメンの包装にはソースやスパイスを入れるプラスチック製小袋が多く使われているため、食べるたびに多くのプラスチックごみが発生する。

ここで出るプラスチックごみをなくそうと、イギリスのレイべンズボーン大学の学生ホーリー・グラウンド氏が新たな形のインスタントラーメン包装を開発した。お湯を入れるだけで包装ごと溶かして食べられるというものだ。

image via Ravensbourne University London

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以前、IDEAS FOR GOODでは、インドネシアのEvoware社が製造する「海藻から作る食べられる包装紙」 をご紹介した。今回グラウンド氏が開発した包装は、ただ食べられるだけではなく、味とスパイスも付いていることが画期的だ。

グラウンド氏は、食品の包装に使われる使い捨てプラスチックの多さにショックを受け、家で食べるラーメンによる環境負荷を減らし、調理方法と消費方法を革新したいと考え、この包装を開発した。

包装にとじ込められた味とスパイスは、包装が溶けたときに全体に広がるため、従来のプラスチックの小袋は必要ない。グラウンド氏は天然成分を加熱し、混合物を型に入れてフィルムを形成してデンプンベースのバイオフィルムを作成した。また、外側の紙包装はリサイクル可能となっている。

image via Ravensbourne University London

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そして、このラーメン包装は調理の手間がかからない事も特徴だ。外側の紙包装を取って、器にフィルムごとラーメンを入れてお湯を注ぐだけ。何枚ものプラスチック袋を破って、順番を考えながら容器に入れる必要はない。また、乾麺をリング形状にしたことによって、湯と接する表面積が大きくなり、麺をより速く均一に調理できる。グラウンド氏は今後、このプロジェクトを他の乾燥食品にも発展させていきたいと述べている。

この画期的なラーメン包装のアイデアは2020年、オンラインマガジンDezeenが主催する、オンラインデザインフェスティバル「Virtual Design Festival」の大学院生部門で、持続可能なデザインプロジェクトの1つとして表彰された。世界初となる今年のテーマは、持続可能な経済システムである、サーキュラーエコノミーだ。

私たちが普段口にするものに関わるごみと無駄を省き、生活を楽しくエコに、そしてシンプルにしてくれる、食べられるラーメン包装。彼女が注目する食品がラーメンということにも何だか親しみがわく。この新しいラーメン包装が広まって、当たり前のものになるときが来ればいいなと思う。

【参照サイト】Product Design student creates ingenious edible packaging

Edited by Motomi Souma

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