テイクアウトをサステナブルに。カカオ豆の殻で作ったリターナブル容器

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新型コロナウイルスの影響により飲食業界は大きな打撃を受け、世界中でテイクアウトや宅配サービスを開始する飲食店が増えた。それに伴い、使い捨てプラスチック製の容器のごみが増えるという新たな問題が生じている。ウイルスの影響が今後も長く続くと考えられる中、このまま大量の使い捨てプラスチックごみの消費を続けても良いのだろうか?そこで、イギリスのデザインスタジオが開発したリサイクル可能な容器と、それを利用した持続可能な食品配送のシステムを紹介したい。

ロンドンに拠点を置くデザインスタジオPriestmanGoodeは、バイオプラスチックや天然素材を原料にし、捨てずに何度も使える食品配送用の容器を開発した。この弁当箱のような形をした容器は、あらゆる種類の食品に使用できるように、耐熱性や保温性に優れた設計となっている。

Image via PriestmanGoode

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本体の原料にはチョコレート製造の副産物であるカカオ豆の殻から作られたバイオプラスチックが使用され、ふたはパイナップルの葉から抽出したセルロース繊維でできている。容器を入れるバッグには、トウモロコシのでんぷん、砂糖、廃食用油などを原料としたヌアタンや、保温性に優れた菌糸体が使われ、容器とバッグの持ち手の部分は天然のゴム素材が使用されている。

また、同スタジオはこの容器を使用することで、テイクアウトや配送サービス利用の際の使い捨て文化を変えることを提案している。スタジオが考案する配送システムは、買い手が食品を注文する際に容器の料金を上乗せして支払ってもらい、容器が配送業者に返却されると次回の注文の時に払い戻しを受けられるというものだ。多くの飲食店がこの仕組みの運用を導入すれば、飲食店から出る使い捨てプラスチックごみを大幅に減らすことができるだろう。

Image via PriestmanGoode

同スタジオは世界的に新型コロナウイルスが流行する以前から食品配送に関する持続可能なシステムを提案しており、感染症の世界的流行によってその重要性はより増すこととなった。

日本では7月1日から小売店でのプラスチックレジ袋の無料配布が終了し、環境負荷の少ない社会に移行しつつあるが、まだまだ減らすべき使い捨てプラスチック製品は多い。環境に配慮した素材の製品開発や、これまでにない習慣を今後も増やしていくことが必要だ。PriestmanGoodeのデザインが、持続可能で便利な生活の助けになることに期待したい。

【参照ページ】REUSABLE AND RECYCLABLE TAKEAWAY CONTAINERS MADE FROM COCOA BEAN SHELLS
【参照ページ】PriestmanGoode creates reusable fast food packaging from cocoa bean shells

Edited by Motomi Souma

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