年に43億膳。飲食店で捨てられる竹箸をアップサイクルした「TAKEZEN TABLE」

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外食時やお弁当を食べるときなど、何かとお世話になっている割り箸。ごみを出さないためにマイ箸を持つ文化もあるものの、現在でも年間約150億膳の割り箸が輸入されている。

日本の割り箸の98%は輸入で、この数字がほぼ日本全体で消費されている割り箸の本数と言える。素材には木製と竹製があり、国内に輸入されている150億膳の内、木製が107億膳、竹割り箸が43億膳となっている(※)

そして木製の場合はコピー用紙やティッシュなどにリサイクルすることができるが、竹は繊維が強く、紙製品へのリサイクルは難しい。そのため、大半が廃棄されていると考えられている。

そんな大量に捨てられている竹箸をアップルサイクルできないか、と考えた人たちがいた。箸で作られたダイニングテーブル「TAKEZEN TABLE」を開発した京都発のブランドTerrUPだ。

竹膳テーブル

何も言われずに見るとまさか割り箸を使っているとは思えない、細かな幾何学模様が美しい天板。TerrUPの創始者である村上さんは、飲食店で働いていた際、毎日大量に捨てられていた竹箸を見て、今回の開発に至ったという。

割り箸をどう加工するか、どんな素材を使うかは全て手探り。サンプルを取り寄せたり、テストをしたりと試行錯誤が続いた。

村上さんは「少し作り方を変えるだけでできあがりは大きく違う。なるべくロスがでないように作り方を工夫した」と開発の秘話を語る。使用済み竹割り箸も、お世話になった飲食店つながりで知り合いを紹介してもらい、今では企業単位で協力してくれるところも現れた。

開発・製造を手伝ってくださっている方々をOur supportersとして紹介しているのも特徴。

開発・製造を手伝ってくださっている方々をOur supportersとして紹介しているのも特徴。

こうして約1年の試行錯誤の末、できあがった製品がこちら。天板は4種類。京都初のブランドだけに、京都市内の橋にちなんだ名前がつけられている。

TAKEZEN TABLEの天板

アイアン脚も4種類あり、天板と脚はお好みで組み合わせられるという。

アイアン脚

村上さんは、環境負荷を考えると洗い箸が大事、としつつも、「コストや割り箸のハンドリングの良さ、お店の雰囲気づくりなどを考慮すると、すべての飲食店、ホテルが洗い箸、もしくは国内林業の維持の貢献にもなる国産割り箸に変わることは現実的に難しい。飲食店で使われた割り箸が、アップサイクルされ、再び飲食店で使われるようなシステムをつくりたい」と語った。

サーキュラーエコノミーの重要性が高まる昨今。使って終わり、ではなく、形を変えつつも、できる限り何度も使用する。そんな循環の環をつくるビジネスモデルの構築が重要ではないだろうか。

割り箸に限らず、世の中には工夫すれば使えるものの、捨てられているものは多い。「将来的には、割り箸だけに止まらず、大量に捨てられてしまっているものをアップサイクルして、多くの人がものを大切に使うことに暮らしの中で気づいてもらえる機会をつくっていきたい」と意気込む。

ブランド名の「TerrUP」には、地球「Terra(ラテン語)」を自分たちの手でより良い方向へアップデート「Update(英語)」するという思いが込められているという。今後どう、「地球をアップデートする」アップサイクルアイテムが誕生するのか。竹割り箸からはじまる挑戦に注目し続けたい。

※ 財務省貿易統計より計算

【参考サイト】TerrUP
【参照サイト】terrUPインスタグラム
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Edited by Kimika

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