ごみで作ったアートを展示。ナイジェリアの「廃棄物美術館」

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ナイジェリアは、2020年のGDPが4,294億ドル(約50兆8千億円)で、人口は2億人超という大規模な国だ。2090年代には、人口が7億人を突破すると予測されている(※1)

そんなナイジェリアは、循環型経済への移行が急務となっている。住友化学によると、同国では年間3,200万トン以上のごみが発生し、そのうち30%超がプラスチックであると推定されている(※2)。そのプラスチックの大部分が、適切に処理されていないことが問題になっているのだ。

外務省によると同国は、2025年にはアフリカ大陸において、不適切な処理や投棄によってリユースやリサイクルの経路に乗らない廃棄プラスチックの、最大の排出国になると予想されている(※3)。同国でリサイクルなどを促進し、関連雇用の創出を図る方法はないだろうか。

ナイジェリアで活動するエコプレナー(環境起業家)のジュモケ・オロウォケレ氏は、廃棄物に新たな価値を見出せることを人々に伝えるため、2022年2月、イバダンという街に同国初の「廃棄物美術館」をオープンした。

廃棄物美術館には、ペットボトルのキャップで作ったカラフルな壁画や、使用済みタイヤで作った家具などが展示されている。オロウォケレ氏が作った作品もあれば、他のアーティストが作った作品もあるという。

同館は、社会的に弱い立場に置かれている若者や女性などに、アップサイクルの仕方を教えるトレーニングセンターとしての機能も果たす。オロウォケレ氏によると、ナイジェリアのアップサイクルビジネスを成長させることも、美術館を設立した目的のひとつだという。

同氏は、米国政府のイニシアティブである「Academy for Women Entrepreneurs(女性起業家アカデミー)」の、2019年の卒業生だ。同アカデミーは、資金調達やネットワーク構築などの機会を提供することで、様々な国の女性起業家を支援している。

オロウォケレ氏は、学校で子どもたちに、使用済みタイヤを使って遊び場を作る方法を教えるなど、美術館以外の活動にも積極的に取り組んでいる。

彼女のようなエネルギーに満ちた起業家が、ナイジェリアにたくさん現れることを期待したい。

※1 ナイジェリアを取り巻く経済課題とは | 地域・分析レポート – 海外ビジネス情報 – ジェトロ
※2 ナイジェリアでプラスチックリサイクル教育を支援 | サステナビリティ | 住友化学株式会社
※3 ナイジェリア連邦共和国に対するプラスチック資源循環体制の強化及びプラスチックごみの削減に向けた無償資金協力に関する書簡の交換|外務省
【参照サイト】 U.S. Government Exchange Alumna Opens Nigeria’s First Waste Museum in Ibadan – U.S. Embassy & Consulate in Nigeria

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