立ち小便をリサイクル。尿が水と肥料になる公衆トイレ

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私たちの生活にとって欠かせないトイレ。そんなトイレの事情は国によって異なっている。日本ではスーパーや駅などに無料で気軽に使えるトイレが整備されており、外出先で不便を感じることは少ないが、欧州の街中には公衆トイレはほとんどない。あっても有料であったり、なければデパートやレストラン、カフェなどでお金を払って借りたりする必要がある。そんなヨーロッパでは屋外での立ち小便が多いのだが、臭いや錆など様々な問題を生みだしている。

そんな「外出先でのトイレ問題」を解決しながら、尿を有効活用するトイレが登場した。オランダのアムステルダム市の道端に現れたユニークな12基のトイレ「GreenPee」である。夜間の街中での放尿防止策として設置されたこのトイレは、小便器とプランターが組み合わされている。機能的で洗練されたデザインが公共スペースに緑を添え、周辺の外観を魅力的なものに変える。

(c)GreenPee

GreenPeeの仕組みは、以下のようである。まず放尿すると、尿は臭いを吸収する麻繊維、もしくは有機アンモニアブロッカーで満たされた容器に集められる。容器は満杯になるとホースを蛇口に接続して空にでき、尿はきれいな水と有機肥料として再利用可能。水は家庭用水や冷却システム、灌漑用水として、有機肥料は公園や緑地の肥料として使用できるのだ。

さらに、容器には雨水を30リットル収集できるハイドロシステム(送水システム)が内蔵されており、植物に水と栄養を与えてくれる。そのため乾季も水やりはほとんど不要で、手入れがしやすい。素材は丈夫なステンレス製で、大きさは300~450回分の尿が貯められる2種類のサイズ。コンパクトなサイズ感で上下水道への接続の必要もないため、簡単かつ環境への負荷も少なく設置できるのが特徴だ。

GreenPeeの色や植物も選択することができ、ロゴも入れられるなどカスタマイズも充実。また、容器を清潔に保ち、植物の世話をするというオーダーメードのメンテナンス契約も提供されている。その方法もサステナブルで、洗浄の際に水が使用されないほか、利益の一部は社会プロジェクトに寄付されている。

街中での「小便」をリサイクルして、サーキュラーエコノミーの新しい形を創造するGreenPee。公共スペースを清潔に保つだけでなく、私たちの生活と緑をもっと豊かにしてくれるユニークな公衆トイレの登場である。

【参照サイト】GreenPee
【参照サイト】Can we drink tea from pee? Yes, we can. Change your mindset!

※画像:GreenPeeより引用

Edited by Tomoko Ito

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