ガラスの代わりになる。米国で研究が進む「透明な木材」とは

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私たちにとって、重要な素材であるガラス。家やビルにはもちろん、電車やスマートフォンの画面など身の回りのあらゆるものにガラスは使用されている。そんな私たちの生活に欠かせないガラスの生産には、膨大なエネルギーが必要であることをご存知だろうか。例えば、2010年の1年間にガラス製造のため使用された天然ガスは、熱量にして約36兆カロリーに相当。ガラスの製造は、知らず知らずのうちに気候変動に影響を与えているのだ。

ガラスは私たちにとって欠かせないが、これ以上地球環境に負荷をかけるわけにはいかない。そんな今、新たな「ガラス」の研究が進められている。それは、米・メリーランド大学で開発段階にある「透明な木材」だ。一見プラスチックのようにも見えるが、その素材は木材。窓やビルの建材としても使用可能なガラスの代替物である。

研究者によると、木材はガラスに比べて熱伝導率が低く、軽くて頑丈なうえに通常のガラスよりも環境に優しいという。建物の窓の素材にすれば、より効率的にエアコンの効き具合を調整できるほか、強い直射日光を和らげながら柔らかい自然光を取り入れることも可能だ。

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透明な木材をつくる実験は、これまでにも行われていたが、課題が多かった。例えば、木材を亜塩素酸ナトリウムに浸すこれまでの方法では頑丈なものをつくることが難しく、生産過程でリサイクルできない廃棄物が出てしまっていた。だが、過酸化水素を塗り、UVライトを当てるという今回の新たな生産方法は、これまでと比較してはるかにサステナブルな手法で強度の強い木材をつくることができる。

最近では、既に技術が確立している培養肉同様、木の伐採の必要がない「人工培養の木材」をつくる研究も進んでいる。それが実現し、透明な木材でオフィスビルまで作ることができるようになれば、高層ビル群のために森林を伐採する必要はなくなるのだ。他にも建物内で使われる耐力壁の素材に使用されうるなど、様々な用途が考えられうることから、透明な木材の可能性は大きく広がっている。

ガラスなどの素材について考えることは、普段あまり無いかもしれない。だがこの透明な木材のような新素材の開発は、身の回りに存在するものの生産がどれだけ環境に負荷をかけているのか、そんなことを知るきっかけになるのではないだろうか。今後も社会を変える科学の力に注目していきたい。

【参照サイト】Glass manufacturing is an energy-intensive industry mainly fueled by natural gas
【参照サイト】Scientists take a step closer to growing wood in a lab
【参照サイト】Natural Patterns of Wood Shine Through in ‘Aesthetic Wood’

Edited by Tomoko Ito

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