食品ロスを減らす、腐った牛乳の香水「Old Milk」

2021.03.18

冷蔵庫に入れていた食材が、いつの間にか賞味期限を過ぎていた──そんなとき皆さんはどうしているだろうか?世界中で多くの人々が、匂いもかがず、味見もせず、その食品を廃棄してしまっているかもしれない。

本来賞味期限とは「品質が変わらずに美味しく食べられる期間」のこと。その日付を過ぎたからといって、健康に害が出るわけでもなければ、その食品が食べられなくなるわけでもない。人々が単に「賞味期限を過ぎたから」という理由で食品を廃棄することをやめれば、世界の食品ロスは著しく減少すると言われている。

スウェーデン最大級のスーパーチェーンであるCoopはそうした問題に目をつけ、ユニークなプロダクトを開発した。それは、「腐った牛乳の匂いのする香水」だ。

なぜ食品ロスを減らすために香水を開発したのか、疑問に思った方もいるだろう。この香水が開発された背景には、「楽しく、記憶に残る方法で、人々に『食品の匂いを嗅ぐ』行為を習慣づけてほしい」という思いが込められている。賞味期限までに牛乳を飲みきる、または賞味期限を過ぎたら捨ててしまう場合、自分の嗅覚を頼りに食品の状態を判断する機会はほとんどない。「腐った牛乳の匂い」を何度も嗅いだことがあるという人は少ないのではないだろうか。そこで、この香水が人々の会話のタネになり、その強烈な経験がその後の行動にも影響するということが期待されている。

香水の開発に要した時間は10ヶ月ほど。香りはプロの調香師によって調合され、腐った牛乳の酸っぱい匂いが忠実に再現されている。高級感溢れる黒いパッケージからは想像できない香りが、より強く人々の記憶に残るだろう。

 

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賞味期限が明記されていることはわかりやすく便利である一方、私たちが自分の持っている感覚を使うことなく生活することを可能にしてしまっている。最も美味しい状態で食べられるのが一番だが、そうでなかったとしても、いったん見てみる、嗅いでみる、試してみる。Old Milkという一見奇妙な商品によって、多くの人が五感を使って食品と向き合うことの大切さ改めて実感するのではないだろうか。

【参照サイト】A FRAGRANCE FOR THE PLANET – A scent that you reduce your food waste
【参照サイト】Old Milk

この記事を書いたライター

伊藤 恵(いとう めぐみ)。京都生まれ、東京育ち。大学院では都市社会学を学び、シンガポールを対象としたフィールドワークを通じて、大都市における人々の暮らしと都市の緑との関係を探究。現在はロンドンを拠点に、イギリスをはじめとする欧州のサーキュラーエコノミーに関する情報発信、レポート執筆、講演などを行っている。関心テーマは、まちづくり、ジェンダー、新しい経済や働き方。認定ファシリティマネージャー、CSRリーダー。(この人が書いた記事の一覧