韓国のデザイナーが考案。歩きスマホでの事故を防ぐ「第三の目」

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“歩きながら”や“自転車に乗りながら”などの「ながらスマホ」による事故が後を絶たない。具体的に報告されている事故の内容は、「携帯を見ながら歩いて壁に激突し眼を負傷」「スマホを見ながら自転車に乗りガードレールに衝突」「スマホを操作しながら歩行中に、段差に足を取られ転倒」など東京消防庁によると、同庁管内では平成27年から令和元年までの5年間、「ながらスマホ」に関連する事故で221人が救急搬送されたという

世界各国で深刻化する「ながらスマホ」問題。その解決策を打ち出すべく、韓国人デザイナーのペン・ミンウク氏が開発したのが「第三の目」(The Third Eye)と呼ばれるウェアラブルデバイスだ。おでこのあたりに「第三の目」を装着したユーザーが頭を下に向けてスマートフォンを見ると、機器のまぶたが開き、前方を見始める。人が障害物に近づくと、この機器がビープ音を鳴らし、物や人にぶつかる前に前方を見るように警告するのだ。

 

 

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ペン氏が第三の目を開発したのは、スマホに目線を落としていても安全に道を歩けるようにするため……ではない。額に機械の目をつけて歩く未来人の滑稽な姿を見せることで、人々に「こうならないように普段の振る舞いを見直そう(=こんなデバイスがなくても生活できるように歩きスマホを止めよう)」と訴えること──それこそが、彼の狙いだったのだ。ヒンドゥー教や仏教では、第三の目が額の真ん中にあるとされ、瞑想を通して到達する悟りを意味する。まさにペン氏はこの企画を通して、人々に目を覚ますよう訴えかけているのである。

MMD研究所(Mobile Marketing Data Labo)によると、歩きスマホへの危険意識がある人は93.6%、歩きスマホの経験者は20代が最多で83.0%だという。歩きスマホをしている人が原因で、ぶつかったり怪我をしたりした経験がある人は、13.2%にものぼる。歩きスマホの規制が必要だと回答した人は73.4%で、2019年と比較し、23.0%も増加している。テクノロジーの進歩に社会の決まりやマナーが追いついていないのが実態のようだ。

周囲のことには目もくれず、スマホの画面だけを見つめて徘徊する「スマホゾンビ」の増加に警鐘を鳴らす「第三の目」。思わず笑ってしまうようなデザインだが、そこには深い哲学が込められている。現代社会の問題に自然と目を向けさせるこの作品は、単なるガジェットの域を超えた芸術作品だといえるだろう。

【参照サイト】S.Korean designer creates ‘Third Eye’ for ‘smartphone zombies’
【参照サイト】スマホ依存の自覚は17.3%、最も多かったのは女性20代が34.0% 歩きスマホへの危険意識は93.6%

Edited by Tomoko Ito

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