省エネと創エネで実現する、韓国初のゼロエネルギー美術館

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私たちが日々の生活を営む建物では、空調、給湯、照明、エレベーターなど、さまざまな目的でエネルギーが使われている。環境省によると、日本における業務部門(事務所ビル、商業施設などの建物)からのCO2排出量は、1990年度から2016年度にかけて66%も増加したという。(※1)地球温暖化を防ぐために、建物の省エネルギー化を推進し、再生可能エネルギーを活用することが大切だ。

世界ではこうした問題意識から、建物のエネルギー消費量を正味でゼロにする、ゼロエネルギー化が推進されている。そこでオランダに拠点を置く建築設計事務所の「UNStudio」と、韓国の建築設計事務所「DA Group」は2021年夏、韓国の忠南(チュンナム)に、同国初となるゼロエネルギーの美術館「Chungnam Art Museum」を建設すると発表した。環境負荷の低減を追求したアイデアが、コンペで選ばれたのだ。

Chungnam Art Museumはどのようにして、ゼロエネルギー化を目指すのだろうか。まず省エネ対策として、自然光を取り入れて人工照明の利用を減らしたり、高効率照明として注目されるLED照明を採用したりしている。そのほかにも、断熱と日射遮蔽に優れた外装の使用や、雨水を貯めて気化冷却へ活用なども行う。また、エネルギーを作る「創エネ」技術として、駐車場や建物の屋根にソーラーパネルを設置している。省エネと創エネを組み合わせて、エネルギー消費量をネットでゼロにする計画だ。

Chungnam Art Museum

Image via Chungnam Art Museum

Chungnam Art Museumは、エネルギー性能の高い建物であるだけでなく、デザイン性も高い点に注目したい。四方に広がる大きな通りから美術館に入れて、建物の中庭まで人々を誘導するデザインが特徴的だ。こうすることで、美術館を街に開かれた場所にし、「すべての人のためのアート」というコンセプトを実現しようとしている。また、館内の展示においては、スマホを通して作品を鑑賞できたり、光が織りなすデジタルアートがあったりと、アートとテクノロジーを融合している。

 Chungnam Art Museum

Image via Chungnam Art Museum

 Chungnam Art Museum

Image via Chungnam Art Museum

アジアのアートシーンから生まれる、サステナブルな建築物。Chungnam Art Museumが新しい芸術を生みながら、エネルギー消費量を減らすためのさまざまな技術を追求する場となることを期待したい。

(※1) 建物で使われているエネルギーってどんなもの? | 環境省「ZEB PORTAL – ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ゼブ)ポータル」 (env.go.jp)
【参照サイト】 Chungnam Art Museum – UNStudio
[Winner] Chungnam Art Museum – dA architecture group (dagroup.kr)

Edited by Erika Tomiyama

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