この遊具、実は廃プラ。デンマークの医療ごみで作った公園

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昨今、新型コロナウイルスの影響もあり注目を集めている医療現場。病院は私たちの生活に不可欠だが、そこから出る廃棄物の多さは、大きな課題となっている。病院の備品は、金属やガラス素材のものを滅菌処理して繰り返し使っていた時代もあった。しかし、衛生面やコスト、作業効率などを優先した結果、多くがプラスチック素材に取って代わられ、使い捨てされている現状がある。

そんななか、デンマークのユトランド半島北東部街、ラナース市や病院スタッフたちが協力し、病院で出るプラスチックごみをアップサイクルした公園「The Circular Playground」をつくった。

TheCircularPlayground

Image via Randers Kommune

デンマーク北東部の街ラナースでは、プラスチックごみがリサイクルされることが増えてはいるものの、多くはリサイクルに適していないため、依然として焼却の残留廃棄物として分類されているのが現状だ。一方でこの街には、サーキュラーエコノミーのノウハウが集積されている。そこで、この地域にある病院の敷地に公園をつくることにしたという。

はじめに、地域の病院がリサイクルに適したプラスチックであるポリエチレン(PE)とポリプロピレン(PP)を分別して収集する仕組みを確立。公園は最終的に、約300キロの廃プラスチックをアップサイクルして作られた。これは、4,478個の滅菌水ボトル、約1,000本分の麻酔薬チューブに相当する量だ。遊具は主に医療で使われて廃棄されたプラスチックをアップサイクルしてつくられており、公園の一部には海洋プラスチックや靴を再利用した素材も使われている。これにより、新しいプラスチックを使用して建設された場合と比較すると、CO2e(CO2換算)排出量を54%削減できるとされている。また、将来的に遊具が老朽化して交換する際にも、再びリサイクルが可能だ。

公園はデンマークの遊具メーカーであるKOMPANとの協業で完成し、9月10日にオープンする。病院を利用する患者や家族、そして地元の人々が気軽に遊べる憩いの場となる予定だ。

The Circular Playgroundには、その名が物語るように、サーキュラーエコノミーの原則の一つである「製品と原料材を捨てずに使い続ける(Keep products and materials in use)」という思想が宿っている。子どもたちの遊び場になると同時に、大人に対してごみを正しく仕分けすることや、すでにある素材を他のものに活かすことの大切さを伝えるものとなっているのではないだろうか。

【参照サイト】Danmarks første legeplads bygget af affaldsplast
【参照サイト】Preparing for a circular playground: a tender for creative spaces to play and learn in Aalborg

Edited by Motomi Souma

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