アブダビ、ドバイ、シャルジャ、アジュマーン、フジャイラ、ウムアルカイワイン、ラスアルハイマの7つの首長国で構成される、アラブ首長国連邦(UAE)。同国における環境への取り組みは、どのような状況にあるのだろうか。
湾岸石化・化学協会(GPCA)の2020年のレポートによると、UAEにおけるプラスチックごみのメカニカル・リサイクル率は、わずか4%だ(※1)。世界的にサーキュラーエコノミーへの移行が進むなか、より多くの資源を回収できるアイデアが求められている。
※1 メカニカルリサイクル(物理的再生法)とは、マテリアルリサイクルの工程に高温・減圧等の高度処理を導入し、不純物を除去する方法のこと。
そんななか、水、廃棄物、エネルギー管理の分野でソリューションを提供するヴェオリア・ミドルイーストは、2020年11月、PETボトルなどの資源を、自宅まで無料回収しに来てくれるよう申し込めるアプリ「RECAPP」をローンチした。
ユーザーは、PETボトルなどの中身を空にして綺麗にし、ごみ袋に入れておく。そして1~2袋ほどの大きなごみ袋がいっぱいになったら、回収を依頼。指定した日時に自宅にいなくても、玄関前にごみ袋を置いておけば回収してもらえる。
当初はアブダビでのみサービスが利用可能だったが、2022年2月には、ドバイの一部地域でもサービス提供を開始すると発表された。同社によると、アブダビではアプリの登録者数が1万5千人を突破し、150トンの資源を回収するという成果を出したそうだ。
RECAPPの魅力は、自分の都合に合わせて回収日時を選択できる便利さと、回収に来てもらうたびにアプリにポイントが貯まるお得感だ。貯まったポイントは、同サービスのパートナーが提供するギフトに交換することができる。
今のところRECAPPで回収してもらえる資源は、PETボトル、HDPE(高密度ポリエチレン)ボトル、金属缶だ。将来的にはガラスや段ボールなど、他の資源を回収することも視野に入れている。
RECAPPはコカ・コーラ、ネスレ、ペプシコ、ユニリーバなどの企業とパートナーを組んでおり、今後さらにサービスの利用者が増えることが期待されている。
サーキュラーエコノミーに移行するには、消費者の協力が欠かせない。どうすれば多くの消費者が資源の回収に協力するようになるのか、サービスの利便性向上、インセンティブの提供、効果的なコミュニケーションの実施など、様々な切り口から考えることが求められるだろう。
※1 GPCA | Unveiling the Recycling Opportunity in UAE and Oman
【参照サイト】 RECAPP: your app to recycle from home | Veolia Middle East