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マテリアルリサイクルとは・意味

マテリアルリサイクル

マテリアルリサイクルとは?

マテリアルリサイクルとは、廃棄物を利用しやすいように処理し、新しい製品の原料として再利用するリサイクル手法。「材料リサイクル」「材料再生」「再資源化」「再生利用」とも言われる。例えば、金属くずを溶かして新しい金属製品を作る、プラスチック資材を破砕・加工処理して再びプラスチックの製品にする、木くずを粉砕・チップ化して建材や紙とするなど。

ケミカルリサイクルでは使用済み資源を化学的に処理し他の化学物質に転換してから再利用するが、マテリアルリサイクルでは熱で溶かしたり細かく粉砕したりはするものの、プラスチックはあくまでプラスチックの状態のままリサイクルされる点がポイントだ。

マテリアルリサイクルの種類

マテリアルリサイクルは、主に以下の2種類に分けられる。

レベルマテリアル(水平リサイクル)

リサイクル素材を同じ製品の原料としてリサイクルする方法。例えば、「使用済みのペットボトルを原料として再びペットボトルを製造することはこれに当たる。

ダウンマテリアル(カスケードリサイクル)

廃棄物からリサイクルした素材が元の原料と同じ品質を保てない場合に、品質レベルが低くても許容される別の製品の原料としてリサイクルする方法。例えば、ペットボトルから衣料繊維を作ることはこれに当たる。

マテリアルリサイクルが推進される製品

マテリアルリサイクルはさまざまな製品において取り組まれているが、いくつか代表的なものを挙げる。

  • ペットボトル
  • アルミ缶
  • アパレル(繊維)
  • PVC (ポリ塩化ビニル)
  • 木くず、がれき

マテリアルリサイクルの事例

IDEAS FOR GOODでは、これまでに数多くの国内外のマテリアルリサイクルの事例を取り上げてきた。いくつか魅力的な事例を紹介しよう。

ペットボトルをTシャツに

アメリカのウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートは、施設内で集めたペットボトルをリサイクルしてTシャツを作っている。ディズニーはこのTシャツを作るにあたり、回収されたペットボトルから「REPREVE」というリサイクル繊維を作る繊維メーカーの「Unifi」とパートナーを組み、この繊維をTシャツに最大で50%使っている。

子どもたちにリサイクルの大切さを。米ディズニー、園内で出たペットボトルをTシャツへ

がれきと廃材をコンクリートに

東京大学の生産技術研究所が、コンクリートのがれきと廃木材を粉砕して混合し、加熱圧縮成形することで、土木や建築材料に使用できるコンクリートをつくることに成功した。このリサイクルコンクリートは、がれきと廃木材と水だけでつくることができ、従来のコンクリートよりも数倍高い曲げ強度を持つ。

大量のゴミを資源に。東大研究所、がれきと廃木材を使ったリサイクルコンクリートを開発

廃棄金属をジュエリーに

アメリカのテクノロジー企業Dellと女優ニッキー・リード氏の経営するジュエリー会社Bayou with Loveが共同で、パソコンのマザーボードに含まれる金をリサイクルして作る宝石コレクション「The Circular Collection」を発表した。このブランドは、Dellの製品の電子廃棄物から再生した金を材料に指輪やイヤリングなどのアクセサリーを生成している。

不要なパソコンを金のジュエリーに。Dellとニッキー・リードのリサイクルコレクション

上記のように、近年の技術開発の進歩で、マテリアルリサイクルで製造可能な製品の幅は大きく広がっていおり、魅力的な製品が次々と生み出されている。

マテリアルリサイクルの課題

一方で、マテリアルリサイクルには課題も多い。以下が主な3つの課題だ。
マテリアルリサイクルの課題は、廃棄物の分別を完璧に行うためには人の手による分別が必要であり、人件費がかかるため全体のコストが高くなってしまうことだ。

また、廃棄物を原料として繰り返し使うので、異物混入によるある程度の品質劣化は避けられない。例えばプラスチック製品だと、廃プラスチックに付随していたアルミや小さなごみなどがどうしても混入してしまい、最終的に製造されるリサイクル製品の見た目や強度、におい、色などに影響を与える。品質を高く保つためには、リサイクル原料の洗浄や脱臭、製品成形・加工の再設計などの技術的が必要だが、その部分も全体のコストを引き上げる原因となっている。この分野の今後のさらなる技術開発に注目したい。

1. 徹底した分別を行う必要がある

マテリアルリサイクルを効果的に行うためには、廃棄物から異物を取り除いたり、素材を細かく分けたりと、徹底した分別が不可欠だ。分別が不十分な場合、リサイクル材料の質が下がり、利用範囲が制限されてしまう。

2. リサイクルの繰り返しによる品質の劣化

現在の技術では、マテリアルリサイクルでリサイクルを繰り返すことにより、素材の品質が劣化してしまう。例えばペットボトルを水平リサイクルすると、加熱巣ることによってプラスチックの分子が切断され、プラスチックの品質が低下する。このため、永遠に水平リサイクルを行うことはできず、徐々にカスケードリサイクルに移行させ、最終的には廃棄せざるを得なくなってしまう場合もある。

3. マテリアルリサイクルできる資源が限られる

特性が再利用に向いていない素材もあるため、全ての素材がマテリアルリサイクルできるわけではない。例えば、日本で生産されるポリプロピレン(PP)は着色料や添加剤を多く含むため、リサイクル後も色や臭いが残る。このため、再利用後に利用できる製品が限定されるといった課題がある。

マテリアルリサイクルのこれから

2024年8月、日本政府が廃棄物削減やリサイクル推進を目指す「第五次循環型社会形成推進基本計画」を閣議決定した。計画の中で資源を有効活用し、成長の好循環を生むサーキュラーエコノミーへの移行が目指されるなか、より多くの素材を再利用していくことが求められている。そのためには、マテリアルリサイクルやケミカルリサイクル、リユース、もしくはそもそもの廃棄物を減らすことなど、多様な対応が求められている。

【参照サイト】プラスチックリサイクルの基礎知識

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