プラスチックバッグの有料化やプラスチックストローの廃止、海洋プラスチック問題など「環境によくない」というイメージが定着したプラスチック。世界中でプラスチックのあり方が考えられているものの、プラスチックごみは減ることなく今も増え続けている。
アメリカの大手コンサルティング会社McKinsey&Companyによると、世界のプラスチックごみは2025年には現在の倍以上となる2億5,000万トンにまで膨れ上がるとされる。回収されたプラスチックがリサイクルされるのは一部で、多くは埋め立てられるか海へ投棄されている(※1)。
さらに、世界最大規模の自然環境保護団体WWF(The Worldwide Fund for Nature)の最新の調査では、すべてのプラスチック廃棄が今止められたとしても、2050年までに海洋マイクロプラスチックの量は現在の2倍以上になるといわれている(※2)。
こう聞くと深刻ではあるけれど、いまいち実感がないという人が大半ではないだろうか。しかし、世界にはプラスチック汚染によって、自らの暮らしが脅かされている人々がいる。そんな現実を伝えるために立ち上がったのが、プラスチック汚染が環境に与える影響を伝えるWebサイト「Toxic Tours」だ。
複数の映像とインタビューによって、普段は目にすることがないプラスチック汚染の影響を知ることができる。
Toxic Toursは世界1万1,000以上の団体や個人から成るイニシアチブ #breakfreefromplastic が設立し、現在インドやベルギーなど世界10か国のツアーを公開している。
たとえばバングラデシュの首都ダッカでは、ダッカ市民の主要な水源として使われていたブリガンガ川が、川岸に立つビニール袋の生産工場などによって汚染された。川岸にはプラスチックごみが幾十にも積み重なっているほか、水も黒く濁っており、現地の住民からは「Dead River(枯れた川)」と呼ばれている。Toxic Toursでは、文字を追うだけではイメージしにくい現実を、このように動画やインタビューを用いて詳しく解説している。
さらに各ツアーには「Take action」ページが設置され、状況を変えるためのアクションを紹介。プラスチック汚染を食い止めるには知って終わりではなく、私たちにできる小さなアクションを積み重ねていくことが大切だ。希望すれば、1対1のアレンジツアーを組んでくれるので、興味がある人はぜひチェックしてほしい。
ネガティブな情報ばかりを並べたが、プラスチックを使うことは決して悪いことではない。私たちに今求められているのは、正しく処理をしたり使う量を調整したりすること。必要のないプラスチックは貰わない、市町村のルールにしたがって分別をするといった今日からできることもぜひ実践していきたい。
※1 McKinsey&Company
※2 IMPACTS OF PLASTIC POLLUTION IN THE OCEANS ON MARINE SPECIES, BIODIVERSITY AND ECOSYSTEMS
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【参照サイト】Toxic Tours
【参照サイト】プラスチックを取り巻く国内外の状況|環境省Plastic Smart
Edited by Kimika