「不味いポテチ」が交通事故を防ぐ。カナダの危険運転防止アイデア

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2018年に大麻が合法化されたカナダ東部のケベック州。現在、21歳以上であれば大麻を所有していても罰則はない。しかし、大麻合法化にともなって、大麻使用後の交通事故が頻発し、社会問題となっていたことはご存じだろうか。

カナダの飲酒運転に関する法律では、飲酒と大麻、その他の薬物接種後の運転が規制されている。血中アルコール濃度や血中の大麻(THC)濃度が検査され、その量によって犯罪の重さが決まる。ケベック州自動車保険協会(SAAQ)によると、ケベック州で2015年から2019年にかけて、交通事故で死亡したドライバーのうち、37%が血中に合法または非合法の薬物を含み、21%は血中から大麻成分が検出されたという(※1)

薬物やアルコールを摂取した後の運転は、自分では大丈夫と思う摂取量であっても、通常時と比べて事故発生のリスクが高まる。大麻の規制が緩和されたとしても、「使用後の運転は危険」という意識を緩めては元も子もない。

そこでSAAQが考えたのが、「交通事故の味」がするポテトチップス“Saveur Accident D’auto”を使った啓蒙キャンペーンだ。

交通事故味のポテチ

チップスは、血やアスファルト、金属など、交通事故を連想させるオリジナルテイスト。封を開けると、眉をしかめてしまう嫌なにおいが漂う。口に運んだ人の感想は「血の味」「過去に事故にあった後に感じた口の中と同じ味」など、ネガティブなものばかりだ。一般での販売はなく、プロモーション用に製造されたという。

キャンペーンの考案者で、広告代理店Lg2のクリエイティブディレクターLuc Du Sault氏はCTV Television Networkの取材(※2)に、「私たちは大麻を摂取した後、空腹になることを知っています。そこで、『交通事故味』のチップスを思いついたのです」と語っている。

合法化の波が世界中に広がる大麻。ネガティブなニュースを受けて「だから大麻を使うべきではない」と切り捨てるのではなく、事故に遭ったらどんなことが起こるのかを疑似体験してもらうことで大麻との向き合い方を考えさせた今回の斬新なアイデア。

副作用でお腹が空いて手を伸ばしたのが、事故味のチップスなら「運転はやめておこう」と思いとどまるはずだ。そしてその不快な味は、実際には絶対に味わいたくないと思わせてくれる。

SAAQが作成したプロモーション動画はFacebookで18万再生以上を記録し、多くの人に拡散された。今回の「交通事故味」のポテトチップスのように、何か伝えるときにどのような「味」を加えるかが、社会課題をより多くの人に知ってもらうカギを握るのかもしれない。

※1 2021 DRUGS AND DRIVING CAMPAIGN
※2 Car crash-flavoured chips meant to dissuade stoned drivers

【参照サイト】Impaired Driving Laws

Edited by Kimika

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