ロンドンの中学校、「週4授業」を目指す。先生が健康に働ける環境づくりへ

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世界保健機関(WHO)と国際労働機関(ILO)の2021年の報告によると、2016年には世界で4億8,800万人が、週55時間以上の長時間労働をしたという。そして74万5千人が、長時間労働による脳卒中及び虚血性心疾患で亡くなっている(※1)

同報告書では、週55時間以上労働する人が週35~40時間労働する人と比べて、脳卒中リスクが35%高く、虚血性心疾患リスクが17%高いとも指摘されている。長時間労働が健康に及ぼす影響に、私たちは注意しなければならない。

「教員がより幸せに、生産的に働ける環境を作りたい」と考え、2019年から週4.5日制に移行したのが、ロンドンのForest Gate Community Schoolという中学校だ。

生徒は、毎週金曜日の正午過ぎに帰ることができ、希望する人は学校が招待するゲストスピーカーの話を聞くこともできる。一方で教員は、仕事を早く切り上げるか、能力開発のためのトレーニングを受けるかを選ぶことができる。また、週4.5日制に移行しても、教員の賃金、休暇、福利厚生は変わらないという。

週4.5日制に移行して約3年が経ち、教員も生徒も状況に慣れてきたなか、同校が新たに検討しているのが、週4日制への移行だ。校長のサイモン・エリオット氏は、イギリスのシンクタンクであるAutonomyが2022年1月に発表した、「学校の週4日制について」という報告書に興味を惹かれたという。

同報告書によると教員の75%が、賃金が減少しない週32時間労働を支持しており、61%が「週4日制への移行が、自分の授業の質を向上させる」と考えている(※2)

Forest Gate Community Schoolは週4.5日制に移行して以来、生徒の成績が向上し、生徒と教員のウェルビーイングも向上するという、ポジティブな変化を実感している。教員は空いた時間を趣味や育児などに充て、生徒は友人と過ごしたり、遅れている宿題に取り組んだりするそうだ。

教員が働きやすい環境を整えようと、率先して変化を起こしてきた同校だからこそ、 Autonomyの報告に納得感を持つのかもしれない。「いきなり週4日労働制に移行するのは難しい」と感じる企業は、まず週4.5日から始めてみてはどうだろうか。

※1 Long working hours increasing deaths from heart disease and stroke: WHO, ILO
※2 A Four-Day Week for Schools – Autonomy
【参照サイト】Four-and-a-half day week | Forest Gate Community School
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