レズビアンやゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー、クエスチョニングなどの多様な性。近年、様々なメディアで性的マイノリティについて取り上げられることが増えてきた。電通が全国20歳〜59歳の計6万人を対象に実施した「LGBTQ+調査2020(※1)」によると、LGBTQ+層に該当すると回答した人は全体の8.9%だった。
徐々に性的マイノリティの認知度が高まる一方で、当事者たちは未だ、偏見や間違った知識、もしくは過度な配慮などによって様々な苦悩を抱えている。
そんな当事者の声を集め、LGBTQ+を取り巻く職場環境を整備するきっかけになればと立ち上がるのが、2022年6月に創刊されるライフ&ワークマガジン『BE(ビー)』だ。性的マイノリティに該当する人が職場で直面する課題など、当事者のリアルな声をクローズアップする。
プロジェクトの中心となっているのは、求人検索サイトで知られるIndeed Japan。同社は「We help people get jobs.」をミッションとし、世界規模で行われる性の多様性のための啓蒙運動「プライド月間」に合わせ、2021年から独自のプロジェクトを展開している。
同社のこれまでの活動を通して、性的マイノリティへの理解や働きやすい環境整備が進む反面、企業や上司、同僚など、共に働く人たちの誤解や認識不足など、課題も浮き彫りになった。
性的マイノリティに対する、当事者ではない人たちからの反応のなかには、“一緒にどう働けばいいのか”という「戸惑い」もある。そんな「戸惑い」や「わからなさ」やから、無意識のうちに当事者へ「LGBTQらしさ」を求めてしまったり、過度な配慮をしてしまったりすることもある。そこに差別する意図がなくても、こうした言動が当事者を苦しめる一因になってしまっているのだ。
そこで『BE』では、当事者のリアルな思いを募るべく特設サイトを開設。当事者として活動を行うサリー楓氏、かずえちゃん氏、松岡宗嗣氏、滝沢ななえ氏の4名を編集メンバーに迎え、働く性的マイノリティが人事部や経営層、同僚、上司に知ってもらいたいことを中心に文字を紡ぐ。今後、「働くと、カミングアウトの関係性」や「LGBTQの仕方ない転職」などにもクローズアップする予定だ。
マイノリティの問題は難しい、自分にはわからない、と感じている人もいるだろう。だが、わからないからこそ、当事者の声に耳を傾け、どんなことを感じているのか、どうすれば心地いいのかを理解しようとすることが大切だ。それと同時に自分の中に偏見や誤解がないか、いつのまにかマイクロアグレッション(偏見からくる無自覚な攻撃)に当てはまる言動をしていないか、問いかけてみよう。
誰もがより自分らしく生きられる社会の実現は、まず「知る」ことから始まる。『BE』に寄せられるリアルな声は、お互いの理解を深めるきっかけになるだろう。
▶ リアルな声を届ける「あなたの職場や仕事探しにおける”声“を雑誌にして、すべての働く人に届けよう!」(2022年5月15日まで)
※1 電通、「LGBTQ+調査2020」を実施
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