世界で毎年、8億人が飢餓に苦しんでおり、20億人が安定した食事をとっていないと言われる。しかし、お腹が空けばいつでも好きな食にありつける人々が、その深刻さを実感するのは意外に難しい。
アラブ首長国連邦(UAE)のドバイでは、このほど断食を行うラマダンの期間に、駐車場や街の路上でさえ、「何も書かれていない」ナンバープレートが出現した。目撃した誰しもが「おや?」と思ったが、それには重要な理由があった。
現地の慈善団体「Mohammed Bin Rashid Al Maktoum Global Initiatives」は、国連世界食糧計画(WFP)の支援を受けて、中東、アフリカ、南アジアで、恵まれない境遇にある家族に10億食を提供する取り組みをローンチ。今回は、その飢餓啓発キャンペーンの一環だったのだ。真っ白な車両ナンバープレートは、私たちがつい忘れ去ってしまう8億の貧しい人々にとっての「空の皿」を意味している。
この動画は広告代理店Publicis Groupeが、UAE政府メディアオフィス向けに制作した体験型広告。希望するナンバープレートのオークション「Most Noble Number Charity Auction」での入札を促すべくUAEの富裕層と共有され、瞬く間にソーシャルメディアで拡散された。
結果、4月16日に開催された1回目のオークションでは、1枚のナンバープレートが3,500万ディルハム(約12億円)で落札されたのをはじめ、わずか2時間で5,300万ディルハム(約18億円)の資金調達に成功した。
健康なイスラム教徒を対象に行われるラマダンの断食。世俗的な私利私欲を抑えて神への奉仕に没頭し、また貧しい人の気持ちを知り、食のありがたさを実感できる風習だ。今回の「空の皿を目の前にする人たち」を忘れずにいよう、支援しようという取り組みは、そんな断食の風習があるドバイの人々の心に、衝撃と共に残ることとなった。
【公式サイト】THE BIGGEST food distribution campaign in the region
【参照サイト】UAE Government Media Office. Empty Plates
【参照サイト】PUBLICIS GROUPE & SAATCHI & SAATCHI UAE: DUBAI COULDN’T IGNORE CARS WEARING EMPTY NUMBER PLATES
Edited by Kimika