目に見えない多様性を学べる、オランダの微生物ミュージアム

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「微生物」とは、目に見えないほど小さい生物をまとめて表現した言葉だ。細菌、菌類、原生生物などが微生物に含まれる。微生物は、私たちの肌1平方センチメートルに1千匹以上いる、とても身近な存在だ(※1)

マカオ科学技術大学の研究によると、そんな微生物も植物や動物のように、気候変動によって存在が脅かされている。常在菌というかたちで人の体に住んで健康を守ったり、生物の排泄物や遺骸を分解したりするという、重要な働きを担っている微生物。肉眼では見えない微生物について学び、環境保全への意識を高めるのも良さそうだ。

オランダのアムステルダムには、世界初の微生物の博物館こと「Micropia(マイクロピア)」がある。2014年に誕生した施設で、13歳以上の人の入場料金は17.5ユーロ(約2,500円)だ。

Micropiaに訪れた人のブログなどによると、水槽、フラスコ、シャーレに入った微生物が、暗めの展示室に並んでいるという。水槽などはライトで照らされ、幻想的な雰囲気を醸し出している。

微生物の様子を捉えた顕微鏡の映像が、大きなスクリーンに映し出されるのが面白そうだ。気に入った微生物のスタンプを集められる、スタンプラリーもあるという。

インタラクティブな展示もある。“微生物ボディスキャナー”は来館者の体をスキャンし、体内にどういった種類の微生物がどれくらい存在しているのか、スクリーンに映して説明してくれる。また、接吻によってどれくらいの微生物が交換されるのか、説明する展示もあるという。

他にも、スマートフォンの画面にどれくらいの微生物がいるかを説明する映像や、栄養を求めて増殖するカビの早送り映像などを見ることができる。また、微生物ではないが、小さい生物である蟻の巣も展示されているそうだ。蟻が、葉などの食料を調達する様子を観察できる。

オランダに行く機会があれば、ぜひMicropiaを訪れてみてはどうだろうか。新型コロナウイルス感染症の流行を経験し、目に見えない生物の存在を意識するようになった人もいるだろう。

「生物多様性を守ろう」という呼びかけを聞いたとき、微生物の存在も頭をよぎるようにしておきたい。

※1 微生物の数|まめ知識|応用生命科学科|学科紹介|生命科学部・大学院(生命科学研究科)|東京薬科大学
【参照サイト】Micropia – Amsterdam museum | Things to do in Amsterdam – Micropia
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