精巣がんの予防に。ゲーム参加で「命を救えるNFT」

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若い男性が特にかかる可能性の高い病気──精巣がんだ。統計によると、2020年には世界中で推定9,334人が精巣がんで死亡しており、また計算すると、約250人に1人が、生涯にわたってこの病気と診断されているという(※1)

そんな、多くの人がかかる可能性がある精巣がんは、実は早期に発見されれば治癒率が高いがんでもある。その早期発見のために大切なのが、定期的に自分の身体を確認し、異変に気付けるようにすることだ。しかしながら、実際は最もリスクの高い20代後半〜30代男性の62%が、そうしたセルフチェックの方法を知らないと答えている。

そこで、本来早く見つかれば治るはずの精巣がんで苦しむ人を少しでも減らすために、とあるプロジェクトが始まった。それが、「Non-Fungible Testicles(代替不可能な睾丸)」だ。今話題のNFT(Non-Fungible Token)にかけて生まれたこのプロジェクトは、「命を救う」NFTだという。

精巣がん啓発月間の4月に始まったこのプロジェクト(※2)。なぜ命を救うかというと、「Non-Fungible Testicles」というNFTの購入によって、人々が精巣がんの予防に取り組めるからだ。というのも、NFTの購入者はゲームに参加することができ、そのゲーム内では定期的に自身の睾丸の状態をチェックすることで、レアなボーナスや報酬が手に入るようになっている。そのため、参加者は自然と健康状態をチェックする習慣が身に付いていき、結果的に精巣がんの予防につながるというのだ。

この「Non-Fungible Testicles」は、男性の健康問題に関する取り組みを行う世界的なNGO「モーベンバー財団」と、ストリートアーティストMISHKA NYCとのコラボレーションによって実現。「Non-Fungible Testicles」の購入による収益は、モベンバー財団が男性の健康促進の活動を支援することに活用されるそうだ。つまり、このNFTが購入されればされるほど、精巣がんの予防の習慣が身に付く男性が増えると共に、男性の健康をサポートする活動も促進されることになる。

人々にとって本当に「代替不可能」な健康への意識を向上させる新たな取り組み。病気の予防など、健康意識の向上を含めて、解決が難しい社会課題は世界中に山積しているが、「Non-Fungible Testicles」のように、人々に寄り添ったクリエイティブな課題解決の方法も増えている。

テクノロジーの発展は、使い方によっては様々な問題を生み出すが、今回のプロジェクトのように人々に良いインパクトをもたらすこともできる。「Non-Fungible Testicles」のような新たなNFTの使い道が、これからますます広がっていくかもしれない。

※1 Testicular Cancer: Statistics

※2 ゲーム自体は、2022年7月3日で終了。

【参照サイト】Non Fungible Testicles
【参照サイト】MOVEMBER Men’s Health
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Edited by Tomoko Ito

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