自分の中の「ステレオタイプ」に気付こう。偏った表現を指摘する校正ツール

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ブログからSNS、ビジネス文書まで、日々、ほとんどの人々は何かしらの文章を書いている。そんなとき、自らが書いた文章を確認し、修正してくれる校正者や校正ツールは役立つ。Microsoft Wordなどで文法や綴りのミスが自動で修正されるほか、近年ではGrammarlyのような英語の文章の自動修正ソフトウェアも開発されている。

文法や誤字などの「わかりやすい誤り」は、そうしたツールに任せられる一方、「訂正が難しい誤り」もある。それは「無知」や「差別」、「偏見」などを含む、知らず知らずのうちに誰かを傷つける可能性のある表現だ。こういった表現は、よほど注意深く確認しても、無意識のうちに書いてしまうことがある。

そこで、そうした表現に気づくことが出来るようにと、スイスのスタートアップ企業「Witty Works」は、あるツールを開発した。それが、AIの技術を用いて固定観念を含んだ表現を抽出し、新たな表現を提案する推敲ソフトウェアだ。

タイピングしている写真

image via Witty Works

このソフトウェアは、文法や綴りの間違いを見つけて訂正を行う校正機能に加えて、AIを用いて原文全体を分析し、排他的かつ固定観念を含んだ表現を抽出。より包括的な表現を提案、置換する機能を持つ。これにより、書き手は自らの固定観念や潜在意識に気付き、より包括的に物事を考えられるようになるという。

このツールを使うことで、利用者個人にとってポジティブな影響があるのはもちろん、そうした思考の積み重ねによって、社会で多様性が推進されるきっかけにもなるとWitty Worksは考えている。

開発の背景には、特にビジネスの世界において、差別や偏見が存在する現状がある。たとえば、ハーバードビジネスレビューでは、排他的な言葉が書かれた求人情報を見た求職者が興味をなくした事例などを紹介している。ビジネスや学問にまつわる様々な専門用語には、いまだ排他的で固定観念にとらわれた単語や表現があり、そうした無意識のうちに抱く偏見が、企業のあり方や仕事のやり方、人々の行動などを決定づけてしまっているのだ。

文章執筆における校正作業を通じて、人々がより包括的に物事を考えられるようになる。それによって、職場に存在する旧来の慣習が見直されていくだろうか。この画期的なツールが、ジェンダー平等や多様性の推進など、社会に良い影響を与えることに大いに期待したい。

【参照サイト】Witty.works
【参照サイト】Springwise – A Spellchecker for Inclusive Writing
【参照サイト】Girls in Tech – Q&A with Nadia Fischer, CEO & co-founder of Witty Works

Edited by Tomoko Ito

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