一人でいるとき、「寂しい」と感じることもあれば、「心地良い」と感じることもあるだろう。一人でいる状態と上手く向き合うために、私たちは何を心がければいいだろうか。
アメリカ・ミドルベリー大学の助教授であるヴァージニア・トーマス氏は、ニューヨーク・タイムズのインタビューに対し、「私たちが一人の状態をどう感じるかは、自分でその状態を選んだかどうかに左右されます」と語っている。
外的な要因によりやむを得ず一人でいると、孤独感に襲われたり、他者と関わることに強い不安感を持ったりしやすい。一方、自発的に一人の状態を選んでいる場合は、ウェルビーイングが高まりやすいのだ。
同氏は孤独に関する研究を行っており、2019年には、10代・20代の若者を対象とした研究を発表。いずれの世代においても、自発的に一人の状態を選んでいる人は、やむを得ない事情により一人でいる人と比べて、自己成長しやすかったり、ありのままの自分を受け入れやすかったりするなど、ポジティブな様子が見られたという。
「孤独」と聞くと、あまり良くない状況を想像することがあるかもしれない。
米国疾病予防管理センターは、50歳以上の人の多くが、健康を損なうような孤立状態に陥っていると指摘している。また、イギリス政府によると、若者、障害者、LGBTQの人が慢性的な孤独に陥りやすく、慢性的な孤独状態にある人は精神的苦痛を抱えやすいという。
周囲との断絶を感じている人が他者と繋がれるよう、サポートすることは大切だ。一方で、静かに思索したり、やりたいことに集中したりするために、一人の時間を意識的に確保する自由も尊重したい。
トーマス氏によると、一人の時間を楽しめるのは、内向的な性格の人だけではない。どのような性格の人でも、一人の時間をどう使いたいか分かっていれば、孤独の良さを享受できるという。
一人でいても、他者と過ごしていても、時間が貴重であることに変わりはない。せっかくなら、その時間の良い面を引き出したいものだ。
【参照サイト】Motivation matters: Development and validation of the Motivation for Solitude Scale – Short Form (MSS-SF) – ScienceDirect
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