マクドナルドの個性派アップサイクル制服、Z世代の雇用を増加へ

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オフショルダーのトップスに、レーサー風のジャケット、ベルトが幾重にも巻きつけられたようなボトムス。新鋭デザイナーが手がけたこちらのストリートファッション・コレクションは、なんと世界的ファストフードチェーンであるマクドナルド・フィンランドの「制服」だ。

マクドナルド×VAINのストリートファッションコレクション

Image via VAIN

13種類の個性的なデザイナーズ制服が生まれた背景には、「Z世代の注目を集め、採用数を伸ばしたい」というマクドナルド社の想いがあった。同社は、Z世代の人々は消費活動や勤労に対して個人的な意味や、社会的な価値を求める傾向にあると主張する。そこで「ここで働きたい」と思ってもらうためには、制服というツールで意味のあることをしようと考えたのだ。

同社はまず、フィンランドのZ世代を中心に人気を博している「ストリートファッション」を制服デザインに取り入れることを決定。デザイナーとして起用したのは、フィンランドの新鋭ファッションデザイナー、Z世代のJimi VAIN(ジミ・ベイン)氏だ。自社のブランド力を新たな才能の後押しへ役立てるため、大手ファッションブランドではなく、あえて新進気鋭のデザイナーとコラボレーションしたのである。

また、これらの制服コレクションには100%リサイクル素材が使用されている。そのほとんどに、地元のマクドナルド店舗で回収した、廃棄予定だった制服が使用されているのが特徴だ。

「McDrip(マックドリップ)」と題されたこちらの制服コレクションは、2022年11月、ヘルシンキ市内のマクドナルド店舗にて開催されたファッションショーのなかでお披露目された。リリース後は、SNSで瞬く間に拡散されており、TikTokでは計数千万再生を記録、インスタグラムでも#macdonaldsが付いた投稿のトップを獲得している。

デザイナーズ制服の取り組み後、Z世代にあたる15-24歳をターゲットにした調査では、企業イメージは41%、ブランド責任イメージは69%、信用度は40%それぞれ向上。その結果、同社の課題であった採用申込数が63%増加したという(※)。「Z世代の共感を引き出し、採用を増やしたい」そんなマクドナルド社の狙いも達成されているようだ。

ちなみに、このVAINとのコラボレーション制服の着用は一時的なものであり、現在のスタッフが働く時に着ているものではない。これらの制服はイベント後にフィンランド国内のマクドナルドクルーにプレゼントされた。

「ストリートファッション」という社会トレンドと「アップサイクル」を組み合わせたアイデアで、企業のブランドイメージ向上と採用申込数増加を実現した今回の事例。事業自体をサステナブルにするのはもちろんのこと、さらにどうすれば人々に「その活動の一部になろう」と思ってもらえるのか。多くの企業がステークホルダーの巻き込み方を考える際の、ヒントを与えてくれそうだ。

McDrop -McDonald’s

【参照サイト】McDrip (McDonald’s)
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