24歳のときから、生理不順を理由に近所の産婦人科を訪れていた。26歳で、難治性不妊症である「早発閉経」と診断。28~29歳で卵巣の摘出や凍結を経験──これは、とある女性の実体験だ。
気象予報士として、テレビ朝日やTBSの番組でキャスターを務めた千種ゆり子さんである。
「まさか自分が不妊になるとは思ってもおらず、セカンドオピニオンで専門医の診察を受けに行かなかったことを後悔しています。自ら不妊についての情報を得たり、周りの人に相談したりしていれば、子どもを持つ未来を描けたかもしれない。同じような想いをする人を減らしたいという気持ちで、去年秋、早発閉経と診断されたことを公表しました(自身の症状を伝えた記事はこちら)」
そんな経緯から千種さんがプロデュースした映画『わたしかもしれない(仮)』の製作費用およびプロモーション費用を募るクラウドファンディングが、8月31日から始まっている。自身の経験を元にしたストーリーによって、若い女性に婦人科にかかることの大切さを伝え、背中を押すものだ。
『わたしかもしれない(仮)』あらすじ
仕事やボランティアに勤しみ、彼との結婚を夢見てアクティブに過ごす深山はるか(25)は友人から不妊治療中であることを告げられ、勧められるがままに婦人科を受診する。「女性なのに男性ホルモンが多いー」そう診断を受けたものの、忙しさの中で対症療法的に片付けてしまう。なんとなく不調ながらも日々を慌ただしく過ごしながら迎えた、はるかにとってのある大事な日、それは襲いかかってくる。
様々なすれ違いが起こり、気に病む中で、薬局で万引きを疑われている中学生・優佳里と出会う。次第に理想の一つであった“母になること”に固執をし始めるはるか。それは優佳里も同じであった。
映画『わたしかもしれない(仮)』クラウドファンディングページ より引用
「あれ?」と思ったときに婦人科受診のきっかけを
もっと早く婦人科に行っていればよかった。そんなことを感じている、あるいは感じることになるのは、この映画の発起人である千種さんだけではない。多くの女性が、毎月の苦しい生理痛や、生理不順、子宮の不調、なかなか結果の出ない妊活などに悩みながらも、受診には至らないケースがある。
映画の紹介ページには、このように書かれている。
「若い女性に『婦人科に行くきっかけ』を聞いてみたところ、身近な人との会話によって、婦人科への通院につな がっているケースが多いことがわかりました。 相談したいのに、なんとなく相談できない…… そんな人が、この映画をきっかけに、周囲の人との会話を始めてくれたらいいなと思っています。また逆に、身近な人だからこそ打ち明けにくいという人もいると思います。だ からこそ、映画の登場人物という架空の存在の体験を届けることに、意味があると思っています」
今後、22歳以下の人向けの映画の試写会チケットをプレゼントするキャンペーンなども行われるようだ。なるべく多くの人が、自分の身体に少しでも違和感を持ったときに婦人科にかかり、その不調の解消に役立てるように。そんな想いが込められた企画である。
劇場公開は、現時点では2025年春を目指しているという。今回のクラウドファンディングは、2023年10月14日まで。自分自身の身体のために。身近で、大切な人のために。見知らぬ多くの女性に届けるために。ぜひ、チェックしてみてはいかがだろうか。
【クラファンはこちら】映画『わたしかもしれない(仮)』製作プロジェクト!婦人科受診の大切さを伝えたい!