「月経カップを試してみたいけれど、実際どうなのだろう?」そう思っても、なかなか周りに聞きにくいなと感じている人は多いのではないだろうか。
そんな中、スペイン・カタルーニャ州では、サステナブルな生理用品を、必要とする全ての人に対し、無料配布する取り組みをはじめる。2024年の第1四半期から実施される予定で、所得に関係なく、ノンバイナリーやトランスジェンダーで月経がある人などもプログラム内に含まれている。
事前に「La Meva Salut」というアプリをダウンロードし、アプリ内に表示されるQRコードを提携薬局で見せることで、月経カップ、布ナプキン、吸水ショーツの三つの選択肢から好きな製品を受け取ることができる仕組みだ。
従来のような使い捨ての生理用品ではなく、繰り返し使用できる“オルタナティブ”な生理用品を無料配布するのは、カタルーニャ州が世界で初めてである。これらの製品を使用することで、廃棄物が減るのはもちろんのこと、使う人の経済的負担を減らすことができる。実際、生涯を通して生理用品にかかる費用はタンポンや使い捨てナプキンを使用した場合は2,500ユーロ(約395,000円)であることに対し、月経カップを使用した場合、約145ユーロ(約22,900円)であることが分かっている。
すべての住民が製品にアクセスできるよう薬剤師はトレーニングを受ける。アプリにアクセスできない女性やその家族を手伝うだけではなく、生理についてもっと知りたいと思う女性やその家族に助言をしたり、知識を提供したりすることになる。つまり、単に製品を渡すだけでなく、薬剤師が窓口となり、質の高い情報やアドバイスを提供し、生理に関する神話やタブーを打ち破る手助けをすることになるのだ。
カタルーニャ州政府平等・フェミニズム局(Departamento de Igualdad y Feminismos de la Generalitat de Cataluña)は、この取り組みの初年度に850万ユーロを計上し、約250万人の女性がサステナブルな生理製品を利用できるようになるとしている。同政府は、生理に関するタブーなどを克服すべく、昨年には州内の中学3年生にあたる若者に、月経カップ、吸水ショーツ、布ナプキンが入ったキットを配布している。キットは、想定より配布に時間を要したものの、約8万5,000人に渡され、オルタナティブな生理用品の一般化を促している。
政府が主体となって、オルタナティブな生理用品を無料提供したり、気軽に相談できる環境を整えたり、生理に関するタブー視を減らすことに取り組んでいるカタルーニャ州。オルタナティブな生理用品を配布することで、“生理の貧困“の解決の糸口になるだけではなく、より多くの選択肢や知識を住民に与えることができている。
こんな風に助けの手がスペイン、そして世界に広がっていけば、より多くの女性が日々を過ごしやすくなるのではないだろうか。
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【参照サイト】El Govern distribuirà gratuïtament copes, calces i compreses reutilitzables a través de les farmàcies per garantir l’equitat menstrual
【参照サイト】Las farmacias catalanas distribuirán productos menstruales gratuitos a partir de 2024
Edited by Erika Tomiyama