1月の第3月曜日、いわゆる「ブルーマンデー」は、1年で最も憂鬱な月曜日だとされる。これは英国の旅行会社スカイ・トラベルが考案した日で、年末年始の休暇から日常へ戻る気の重さや、冬の短い日照時間、社交機会の減少……こうした要因で気分が沈みがちになることから命名された。
ブルーマンデーのある1月は、特に一人暮らしの人々にとって憂鬱な時期となってしまうことがある。家族や友人と楽しいホリデーを過ごした後の静かな日常においては、いつにも増して孤独を感じやすいためだ。
この時期の孤独を少しでも解消しようと、2024年のブルーマンデーにあたる1月15日、オランダの食料品店に登場したのが、緑色の特別な買い物かごだ。
おばあちゃんのレシピに基づき、美味しいスープや食事を提供するオランダのスープブランドOma’s Soepは、広告代理店Closed On Mondayと共同で「おしゃべり歓迎」買い物かごを企画。食料品店アルバート・ハインに設置するキャンペーンを開始した。
通常の青い買い物かごの隣に置かれたこちらの緑のかごには「楽しいおしゃべりを歓迎します」というメッセージが書かれている。これを選んで持つことが「話しかけてもOK」というサインになり、おしゃべりをしたい顧客同士がつながれるという仕組みだ。
緑のかごの中には、なんと話しかけたら良いのか迷う人に向けて会話のヒントが書かれている。例えば「近くにお住まいですか?」「ここにはよく来ますか?」「今夜のメニューはなんですか?」などだ。また、このチラシの端には、電話番号を書き込める欄があり、話をした相手と気軽に連絡先を交換できるようになっているのもポイントだ。
実際に、編集部メンバーがアルバート・ハインの店舗を訪ね、店員の方に話を聞いたところ「年配の方を中心に、お客様同士が『おしゃべり歓迎』買い物かごを持ってお互いに話をしているのを見かけます」と話してくれた。
また、夜の時間帯には時々Oma’s Soepの担当者が店舗を訪ね、緑のかごを持っている人がいたら話しかけていることもあるそうだ。
Oma’s Soepは、収益の50%を高齢者の孤独問題に取り組むOma’s Soep財団に寄付。かねてからオランダのさまざまな都市で老若男女が集まる活動を毎週開催している。
同ブランドのインスタグラムによると、このキャンペーンは現在アムステルダム内のアルバート・ハイン数店舗で行われており、今後他の都市に拡大される可能性もあるとのこと。
買い物かごを使ったシンプルな工夫で、コミュニケーションのきっかけをつくる──日常生活のなかで誰もが訪れるであろう食料品店を、新しい心のセーフティーネットに変えてしまうやさしいアイデアだ。
【参照サイト】Oma’s Soep Instagram
【参照サイト】Het Boodschapmandje(Oma’s Soep公式サイト)