フランス「ファストファッション広告禁止」を提案。使い捨て文化の終わりとなるか

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フランスではファストファッションの広告がまもなく禁止されるかもしれない。

Anne-Cécile Violland(アンヌ=セシル・ヴィオラン)議員によって提出されたこの法案は、ソーシャルメディアのインフルエンサーを通じたものを含むファストファッション製品の広告禁止案と、衣料品に対するエコロジー罰則の制定を支持している。法案は2024年3月14日に持続可能な開発委員会で審議され、その後上院に可決される可能性がある。

「ウルトラファストファッションは生態系を破壊するものです!衣服は粗末に作られ、大量に購入され、めったに着られず、すぐに捨てられます。
昨日、私はNGO、メーカー、研究者など、多くの関係者を集め、より持続可能なファッションを支援するために協力しました」
ー業界関係者との討論会後、環境移行省のChristophe Béchu(クリストフ・ベシュ)大臣のXより

具体的には、広告禁止の他に罰金が提案されている。商品の環境影響と炭素排出量に基づき、持続可能性やリサイクル可能性などを考慮し、2030年までには販売1点につき10ユーロ(約1,600円)、もしくは購入価格の50%に達する額が課せられる可能性がある。これは、ファストファッションの価格をより高価にすることを目的としたものだ。

この提案で特にターゲットとされているのは、中国系シンガポールのファストファッション小売業者であるSHEIN(シーイン)だ。パリに住む筆者も、メトロ内でたびたび広告を見かけていた。

NGO団体Friends of the Earthの調査によると、SHEINは1日に7,200以上の新モデルを発表しており、47万種類の商品を販売しているという(フランスの伝統的なブランドの900倍にも上る)。これは、少なくとも1日に100万着の衣類が生産されており、2〜15万トンのCO2が排出されていることを意味する。衣類の平均価格は、たったの7ユーロ(約1,130円)だ。同ブランドはこれにより幅広い顧客を引き付け、低価格を実現するというビジネスモデルを確立している(※)

現在、ヨーロッパのファッションブランドは、こうしたファストファッションとの競争に勝つために生産量を増やさざるを得なくなっている。また、ベシュ大臣はファストファッションの存在が、消費者の購買習慣に悪影響を与えていると警告し、この提言を支持している。

フランスでは現在、衣類廃棄禁止法や、衣服の再利用と修理を奨励するために服の修理やお直しに「ボーナス」支給する取り組みなど、様々な政策が導入されている。今回の罰金から集められた資金は、そうした廃棄物管理や「修理費用負担制度」、公共啓発キャンペーンなどに充てられる。

2021年4月には、市民からの提案による「気候変動とレジリエンス法」のなかで化石燃料に関する広告が禁止された。また、市民の消費意欲が高まるクリスマスに、フランスの環境・エネルギー管理庁(ADEME)が、「消費を控えるよう呼びかけるCM」を放映。新しい服を買う代わりに、既に持っている服を長く着ることを勧めたものや、家電量販店で新しい製品を購入する代わりに、既存の製品を「修理」することを勧めたCMが話題を呼んでいた。消費者に大きな影響をもたらす広告の役割が、今変わりつつある。

Quand la mode surchauffe
【参照サイト】Surproduction, polluants, déchets, casse sociale : comment la France veut déshabiller l’ultra fast fashion
【参照サイト】‘An ecological disaster’: French bill proposes crackdown on throwaway culture of ultra fast fashion
【関連記事】化石燃料の仕事はお断り。広告・PR業界の気候アクティビズム「Clean Creatives」
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