使い捨てプラスチックごみの削減方法の一つとして、小売店では量り売りが注目されている。しかし、量り売りには手間がつきものだ。店側は商品の詰め替え作業をしなければならず、顧客は容器を持って店に出向かなければならないなどといった障壁がある。
イギリスの大手オンラインスーパー・Ocadoは、そんな量り売りに関して国内で初めての取り組みを行った。それは、日用品を再利用可能な詰め替え容器に入れて配達・回収するというものだ。
第一段階では、米2キログラムのパックとペンネパスタの1キログラムのパックが対象で、2024年後半の第二段階では3リットル容器の柔軟剤や液体洗剤が追加予定になっている。
顧客に配送された再利用可能な容器は、空になると配送時にドライバーによって回収され、点検・洗浄された後、容器に商品が詰められて再び配送に利用される。再利用可能な容器には追加料金がかからず、顧客は他の商品と一緒に詰め替え商品の配送と、容器の回収のいずれかを選択することが可能だ。
量り売り用に導入される各容器は最大5つの使い捨てプラスチック容器やパックを代用し、60回以上再利用できるように設計されているという。また、詰め替え容器の商品は値段もお得だ。例えばペンネパスタの場合、詰め替え容器に入った1キログラムのものは、通常の袋入り500グラムのものと同じ値段になっている。
イギリスでは、他の大手スーパーも各店舗で詰め替え容器を試験的に導入しており、独立した量り売り店も全国に出現している。しかし、The Guardianによると、この詰め替えシステムは小売業者や消費者のどちらにもコストがかかり、包装済み商品よりも人気がなく収益性も低いため、苦戦を強いられているのが現状だそうだ。
一方、Ocadoがイギリスの成人2,000人以上を対象に行った調査によると、約75%が「価格と品質が変わらない限り、スーパーマーケットが詰め替え可能な商品を増やすことに前向きである」という。
今回、The UK Refill Coalitionと物流会社CHEPと提携してこの取り組みを実践した、GoUnpackagedのディレクターであるロブ・スペンサー氏は、The Guardianの取材で次のように話している。
業界全体で取り組むことで、サプライチェーンに関わるすべての人にとって有益なリユースシステムが実現すると、買い物客もオンラインショッピングを通してリユースに参加しやすくなります。
Ocadoの取り組みは、店舗での詰め替え作業やそれに伴うコストや時間といった障壁を取り除き、顧客により便利さを感じさせるものだ。これにより利用客の層が広がれば再利用への認識もまた拡大し、一人ひとりの実践へとつながっていくのではないだろうか。
【参照サイト】 Ocado is first major supermarket to trial refillable packaging
【参照サイト】Ocado starts trial selling everyday products in refillable packaging
【参照サイト】Ocado becomes ‘first major supermarket’ to pilot online reusable packaging scheme
【参照サイト】Can new Ocado pilot finally crack the code of refillable packaging?
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Edited by Megumi