ペットの遺灰を人工サンゴ礁に。大事な家族を“大きな命の営み”のなかに返す追悼サービス

Browse By

「人は亡くなったら、空の星になるんだよ」そんな言葉を一度は耳にしたことがあるのではないだろうか。その言葉は、すべての悲しみを癒すわけではない。だが、空を見上げる度に彼らがそばにいるのだと感じられれば、少しだけ気持ちが軽くなる。それは、家族の一員であるペットが亡くなってしまったときも同じだろう。目には見えなくなっても、どこかで生き続けていると信じられたら、存在を感じることができたら、心の傷がほんの少し癒えるかもしれない。

イギリスのResting Reef(レスティング・リーフ)というサービスは、亡くなってしまったペットの存在を感じられるような追悼の形の一つだ。これは、ペットの遺灰を砕いた貝殻と混ぜ合わせて「メモリアル・リーフ」と呼ばれる「人工サンゴ礁」を作り、海へ設置してくれるというもの。

このメモリアル・リーフは、自然界の仕組みを模倣して技術に取り入れるバイオミミクリーの考え方に沿ってデザインされた。様々な海洋生物に隠れ場所や餌場、繁殖場所を提供したり、サンゴや藻類などの成長を促進したり、CO2を吸収したりすることで、海洋生態系の回復に役立つと期待されている。

メモリアル・リーフが作成・設置されるのは、バリ島のトゥランベンという村だ。この地が拠点に選ばれたのは、トゥランベンのサンゴ礁の大部分がサンゴの採掘、ダイナマイト漁、底引き網漁などによって荒廃しており、早急な修復が必要だったため。このプロジェクトでは、地元住民たちに雇用の機会を提供しながら、有害な漁業によってダメージを受けた海洋生態系を再建することを目指しているのだ。

また、海に設置されたメモリアル・リーフの写真や動画は、定期的にサービス利用者に送付される。こうした情報のアップデートを通じて、自分の家族が海のなかでどのように暮らし、海洋生物にどのような影響を与えているかに想いを馳せることができるのだ。

こちらのサービスは今のところペット専用だが、将来的には人間の供養の可能性も模索しているとのこと。

大事な家族は、物理的にはもうここにいないかもしれない。だが、彼らは地球上の生命が織りなす大きな営みの一部となっている。確かに命をつなぎ、生き続けている。だから、きっと大丈夫──レスティング・リーフという選択肢だけでなく、それぞれがそう思えるような追悼の形が見つかることを願って、この記事を終えたいと思う。

【参照サイト】Resting Reef
【参照サイト】resting reef blends pet ashes with crushed shells for sustainable underwater urns(designboom)
【関連記事】海洋生態系を回復させる埋葬?遺灰とカキ殻でつくる人工岩礁
【関連記事】大切な人の遺灰をジュエリーに。「命のダイヤモンド」で始めるファッション革命

FacebookTwitter