また、あの茹だるような、ジリジリとした暑さがやってくる。気象庁による2025年5月の発表によると、「地球温暖化の影響により」6月から8月にかけて平年より高い気温が続くようだ。
そうとなれば、早めの暑さ対策が欠かせない。そのときに気をつけたいのが、子どもたちの暑さ対策。子どもたちの服装や水分補給の判断を、大人の体感温度で決めてしまっていないだろうか。
「今日は28度。まだそこまで暑くはないよね」と思っていても、子どもたちはすでに真夏のような暑さを感じているかもしれないのだ。

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実は、子どもたちは大人と比べて、なんと約7度も高い気温を感じている。サントリー食品インターナショナル株式会社(以下、サントリー)が株式会社ウェザーマップと共同でおこなった2023年の実験によると、大人(高さ170cm)と子ども(高さ120cm)のマネキンそれぞれの胸の高さで気温を計測したところ、大人は31.1度、子どもは38.2度と、7.1度の気温差があることが分かったのだ。
その原因は、地面からの照り返しだという。調査で使用されたサーモグラフィーを見てみると、大人は主に下半身だけが高温だが、子どもは首から下が地面と同じくらい高温になっているのだ。

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つまり、まだ猛暑ではないはずの5〜6月も、子どもにとってはかなり暑い時期。ウェザーマップ社が7.1度の気温差をもとに「子どもにとっての猛暑日」を算出したところ、子どもは6月でも7月並みの暑さを感じ、その後も大人より多くの猛暑日を経験することが分かった。
これは、単に「子どもの方が暑くてつらい」というだけではない。大阪国際大学 名誉教授の井上芳光教授によると、子どもは実は汗っかきではなく、大人の6割しか汗をかけないため、体内に熱がこもりやすいという。つまり、子どもの熱中症リスクは大人より高く、体感より早めの時期から、より頻繁に対策を準備する必要があるのだ。
3年目となる、サントリーの同プロジェクト。2025年は環境局の熱中症対策ポータルで「こども気温」について情報発信をするほか、7月には東京都の後援を受け、親子向けの「こども気温」啓発イベント開催などを予定している。
たとえ大人が近くにいても、子どもたちが重度の熱中症になる事例は起きる。その原因には、大人と子どもの体感気温の大きな違いも考えられるだろう。「そんなことは当たり前」と思うかもしれない。しかし改めて、子どもたちと過ごす際には、大人の体感より早めの水分・塩分補給、そしてこまめな日陰・室内での休憩を心がけたい。
【参照サイト】【5月より「こども気温」啓発始動】実は、子どもは“汗っかき”ではない!“大人の6割しか発汗能力がなく、高温下では熱がこもりやすい”事実に着目し、「こども気温」啓発を強化|サントリー食品インターナショナル株式会社
【参照サイト】こども気温 グリーン ダ・カ・ラ GREEN DA・KA・RA|サントリー食品インターナショナル株式会社
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