ついに、日本でも気候変動が「天気予報」としても扱われるようになった。
株式会社ウェザーニューズが、同社YouTubeチャンネルで、気候変動に焦点を当てた新番組「100年天気予報」を2025年4月18日に開始したのだ。毎週金曜日の正午から配信される。気象データをもとに、気候変動が社会や未来に与える影響について、専門家とキャスターが解説する約30分の番組だ。
例えば初回動画「100年後の天気はどうなる?」では、最も温暖化が進行した場合を想定した、2080年8月15日の天気アイコンを紹介。2024年8月の天気と比較してみると、猛暑日のアイコンが増加し、夜間の最低気温も上昇しうることが分かった。
2025年5月時点で、そのほかにも「未来の桜どう変わる?」「GWはもう真夏?」「100年後の蚊はどうなる?」「海面上昇が生活に与える影響は?」などの動画が公開された。それぞれ2万回前後の再生数となっており多くの人が関心を寄せていることが分かる。
気象情報サービスとしての印象が強い、ウェザーニュース。日々の天気を確認するのにウェブサイトやアプリを使用している人も多いはず。豊富な気象データを持っている組織だからこそ見えてくる、マクロな視点での気候の変化を届けてくれるのだ。
このような「気候変動を伝える気象番組」は、欧州を中心に徐々に増えてきた。イギリスの公共放送・BBCは気候変動の現状を現地の声と共に届ける番組「Climate Watch」、フランスのテレビ局・France2および3は天気予報と気候変動を織り交ぜた番組「Journal Météo-Climat」をテレビで放送するなど、日常生活の中で気候変動に触れる機会が増えつつあるのだ。
今回のYouTube番組は、日本でも気候変動番組がテレビで放送されることにつながるだろうか。若年層を中心にニュースにアクセスする媒体としてSNSが主流になりつつあるものの、未だ日本全体では約7割の人がテレビからニュースを得ており(※)、認知を広げるにはテレビを通しての情報発信が重要なのだ。
国内でも、気象庁から気候変動に関連する分析と予測が公開されるなど、日常の天気と気候変動を関連付けた情報発信は存在する。ただしそれを伝える手段はまだ限られているため、ウェザーニュースの例に続き、より多くの人が利用しているプラットフォームにおいても気候変動が重要トピックとして扱われていくことに期待したい。
※ ニュースを得ているメディア「テレビ」15年間横ばいで7割・「新聞」は減少傾向続き4割弱・10~30代のX利用者の約6割がXでニュースを収集
【参照サイト】100年天気予報|YouTube
【参照サイト】「ウェザーニュースLiVE」にて、気候変動番組『100年天気予報』を開始|ウェザーニュース
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