見放されかけた犬が、迷子探しの名探偵に?グッドニュース5選【2025年10月前半】

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IDEAS FOR GOOD2.0 危機を希望に。読者とともに「新しいメディアのかたち」をつくりたい〜IDEAS FOR GOODはクラウドファンディングに挑戦しています〜

2015年から、社会を「もっと」よくするアイデアを届けてきたIDEAS FOR GOOD。けれど、世界も、メディアのあり方も、この数年で大きく変わりました。私たちもまた「伝える」だけでは届かない時代の中で、迷いながら、探りながら、新しいメディアのかたちを模索しています。完璧ではない。でも、未完成だからこそ、まだできることがある。このメディアを存続させ、次の時代へと手渡していくために──どうか、この挑戦にご参加いただけたら嬉しいです。

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社会をもっとよくする世界のアイデアマガジン、IDEAS FOR GOODの編集部が選ぶ、今月の「ちょっと心が明るくなる世界のグッドニュース」。前回の記事では、育休中の社員と同僚に報奨金を与える新制度やスウェーデンの「旅」処方などのトピックを紹介した。

日々飛び交う悲しいニュースや、不安になる情報、ネガティブな感情ばかりを生む議論に疲れたあなたに。世界では同じくらい良いこともたくさん起こっているという事実に少しのあいだ心を癒し、また明日から動き出そうと思える活力になれば幸いだ。

愛に溢れた世界のグッドニュース5選

1.迷子動物のことならお任せあれ。名探偵犬・リコ

ポルトガルで、殺処分される予定だった犬・リコ。彼を救ったのは、犬の訓練学校を経営するレイチェル・ロジャーズだった。処分の寸前で保護されたリコは、レイチェルのもとで訓練を受け、鋭い嗅覚と追跡能力を発揮。やがて彼は、行方不明の犬や動物を探す“探偵犬”として活躍するようになる。

いま、リコは迷子の動物が使っていたおもちゃや毛布の匂いを嗅ぎ、それを頼りに場所を探し当てる。これまでに20件以上の捜索に参加し、迷子の犬はもちろん、動物園から逃げた動物の発見にも貢献したという。

今日も、リコはその小さな鼻先で、大切な誰かと誰かが再会できるよう導いている。

【参照サイト】Stray Dog Saved From ‘Death Row’ Turns into Brilliant Detective(Good News Network)

2.女性も男性もスカートを選べる。鉄道会社の制服コレクション

女性はスカート、男性はパンツ……このように決められた制服は、性別を男女のみに分け、2つの枠に無理やり押し込んでしまうことがある。そんな状況に一石を投じたのが、鉄道会社ユーロスターだ。

同社は、性別に関係なく従業員たちが、パンツやスカート、ドクターマーチンのブーツなどを自由に組み合わせて「自分らしい」スタイルを選べるようにした。この制服コレクションは、デザイナーと従業員たちが協働して生まれたもので、多様な人々が働く環境に新しい風を吹き込むこととなった。

制服はもはや「単に所属を示すもの」ではなくなっているのかもしれない。「ありのままの自分でいられる/自分を受け入れられるためのツール」として、制服を捉えなおす必要がありそうだ。

【参照サイト】Eurostar extends skirt option to all staff, regardless of gender(TrendWatching)

3.アートが何よりの薬?心が疲れたら、美術館へ

美術館で絵と向き合っていると、なんだか落ち着くような気がする。イギリス南西部プリマスにあるアート施設「ザ・ボックス」は、その感覚が「なんとなく」のものではないことを明らかにした。

ザ・ボックスが発表した資料では、

  • 成人が多様な文化活動に定期的に関わることで、身体的・精神的健康が改善される
  • アートをベースにした活動が子どもの外向的行動や自尊心、精神的健康の向上につながる
  • 博物館や美術館の訪問が高齢者のうつ病や認知症の発症率を低下させる

といった可能性があることが示されている。

芸術鑑賞による気分の改善や孤立感の軽減など、人の心に与えるポジティブな影響を数値化すると、来館によるメンタルヘルスへの効果は、地域全体で1億ポンド(約198億円)に相当するという。

アートは、私たちの心に寄り添い、そっと回復を促す「社会的処方箋」となる。心の天気が曇ってきたら、少し遠回りをして近くの美術館を訪ねるのも良いかもしれない。

【参照サイト】Arts venue claims £100m in health benefits alleviates visitors’ depression(Arts Professional)

4.ごみ箱がスロットマシンに?遊び心でリサイクルを促進

「やらなきゃ」と思いながらも、疲れているとついつい面倒になってしまうリサイクル。ペプシがオーストラリアで展開するキャンペーン「Recycling Rethink」は、そんな「面倒」をわくわくする方法で「やりたくなる」ようなものに変えている。

この「Recycling Rethink」キャンペーンでは、従来の「ペプシ製品の容器を返却すると10セント(約10円)が戻ってくる」という仕組みをアップデート。容器の返却で最高5万豪ドル(約489万円)が当たる抽選に参加できるようにした。リサイクル用のマシンに容器を入れると、QRコード付きのクーポンが発券され、スマートフォンでコードをスキャンすることで当選確認ができる仕組みになっている。

持続可能な習慣をつくるカギは、意識の高さよりも、行動を後押しする「仕組み」にある。ペプシの試みは、そんな「仕組みのデザイン」が人々の行動を変えることを教えてくれる。

 

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【参照サイト】Pepsi Recycling Rethink

5.郊外の下水処理場が、鳥たちの楽園に?

楽園というと、都市から離れた秘境の地を想像する人も多いのではないだろうか?だが、今回紹介する鳥たちの楽園はなんとあの意外なインフラのなかに存在している。

オーストラリア・メルボルン郊外のウェスタン処理場は、下水処理場でありながら、約300種の鳥が訪れる野鳥の楽園だ。

処理場の敷地内には、処理済みの排水が流れ込んでくる池や湿地帯がある。処理水には、微生物や昆虫を繁殖させる栄養分が残されており、それが地域一体の食物網を支えている。鳥たちは豊かな餌を求めて、この地にやってくるのだ。

また、池には常に水が流れ込んでいるため、乾季や干ばつの時期でも湿地が枯れることはない。そのため、渡り鳥の「避難所」としても機能している。

ウェスタン処理場は、その生態的な重要性が認められ、1983年、国際的に価値ある湿地としてラムサール条約にも登録された。私たちが単なるインフラや工業施設だと思い込んでいる場所も、適切な設計と運用をもってすれば自然との共存拠点になり得るのかもしれない。

【参照サイト】‘A mythical place’: how a Melbourne sewage farm became a haven for 300 species of birds(The Gurdian)

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