【2025年1月】手を使わず“背中”で操縦できる車椅子?グッドニュース5選

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社会をもっとよくする世界のアイデアマガジン、IDEAS FOR GOODの編集部が選ぶ、今月の「ちょっと心が明るくなる世界のグッドニュース」。前回の記事では、カナダの“髪凍結コンテスト”や風の力で編むデザイナーなどの話題を紹介した。

日々飛び交う悲しいニュースや、不安になる情報、ネガティブな感情ばかりを生む議論に疲れたあなたに。世界では同じくらい良いこともたくさん起こっているという事実に少しのあいだ心を癒し、また明日から動き出そうと思える活力になれば幸いだ。

愛に溢れた世界のグッドニュース5選

01. 背もたれで操縦できる、ハンズフリーの車椅子が登場

重い荷物を乗せてショッピングカートを押しているとき、もし目の前の道が少し右に傾いていたら、どのようにカートを押すだろうか。カートがずり落ちていかないように右手で押す力を強めるはずだ。

同じことを、日常的に経験しているかもしれないのが車椅子を使用する人々。道の傾斜に合わせて左右の押す強さを変える必要があり、身体にかなりの負担がかかっている。この課題意識から生まれたのが、チューリッヒ工科大学が開発した“背もたれで操縦する車椅子”だ。上半身を左右に傾けることで、車椅子そのものの方向を変えることができ、移動時の疲れを軽減してくれる。通常の運転と、背もたれでの運転は、レバー1つで切り替え可能とのこと。

この車椅子の特長は、ハンズフリーにもできること。これまでハンズフリーの車椅子は、大型の電動が主流であった。2027年の商品化が目標とされている「背もたれ操縦の車椅子」は、もっと手頃で身近な選択肢となるかもしれない。

【参照サイト】Revolutionary new wheelchair boasts hands-free backrest-based steering|NEW ATLAS

02. アイスランド政府、女性が多数派に

ジェンダー平等に向けた動きが進んでいると言われている、アイスランド。北欧のノルウェーとグリーンランドの間に位置する島国だ。同国で2024年11月30日、63の議席をめぐって議会選挙がおこなわれた。その結果、同国として初めて女性議員の人数が男性議員の人数を上回ることとなった。

もう一つ、注目すべきことがある。今回の選挙により、初めて大統領と首相の両方が同時期に女性となったのだ。閣僚も11人中7人が女性だという。人数だけでジェンダー平等の進度は測れないものの、多様な取り組みが進むアイスランドでのこうした変化が世界の先駆けであることは、間違いなさそうだ。

【参照サイト】New Government in Iceland – Women in Majority|Sweden Herald
【参照サイト】アイスランド 大統領と首相がともに女性に 同時期は初|NHK

03. 売れ残ったクリスマスツリー、動物たちのご飯に

日本の家庭ではあまり馴染みがないが、欧米ではクリスマスに本物のモミの木を買ってデコレーションをする。ホリデーシーズンが近づくと、街中で木が販売されていることもあるようだ。だが、その一部は売れ残ってしまい、廃棄処分されてしまう木もあるという。

しかしベルリンでは、売れ残った木が動物たちに喜ばれている。木々が動物園に持ち込まれ、ゾウやキリンがご飯として食べたり、おもちゃとして遊んだりしているのだ。デコレーションを外し忘れて誤飲することがないよう、持ち込む木は「売れ残ったもの」に限定されている。とはいえ、大量のモミの木が届いたら動物たちも楽しめない。彼らに処理を押し付けることがないよう、適切な量の木を切ることにも気をつけたい。


【参照サイト】It’s Christmas for the elephants as unsold trees are fed to the animals at Berlin Zoo|AP News

04. ファミリーマートが「涙目シール」で食品ロス削減

もう一つ、廃棄を減らすための取り組みが日本で話題になった。近年問題視されている食品ロスの課題に対し、株式会社ファミリーマートが2024年10月30日から11月26日、一部店舗で「涙目シール」を実証実験として採用した。シールには「20円引き」などの文字と共に「たすけてください」と涙目で訴えかけるおにぎりのキャラクターが描かれている。

その結果、値下げ商品の購入率が5ポイント向上。同じ取り組みを全国で展開すれば、店舗での食品ロスを年間およそ3,000トンも削減できる見込みが立ったのだ。2025年の春以降、全国の店舗で採用予定だという。涙目のイラストや「たすけてください」というメッセージを見て購入する行為は、行動心理学的なアプローチであるとのこと。コンビニに限らず、是非広がってほしい。

Image via FamilyMart

【参照サイト】全国拡大決定!食品ロス削減に効果あり 「涙目シール」で購入率が5ポイントUP!~全国展開で年間3,000トンの削減見込み~|FamilyMart

05. 8歳の女の子が、クラスメイトのために非言語コミュニケーション用のブレスレットを開発

「もしあなたがエンジニアだったら、どうする?」これは3歳から19歳を対象としたイギリスのコンペの問いだ。このコンペでは、子どもたちが若いエンジニアとチームを組み、一緒にプロトタイプを作る。おそらく、多くの子どもたちは専門的なエンジニアの知識は持っていない。しかし、だからこそ創造的なアイデアが飛び出してくる。

このコンペで8歳にしてブロンズ賞を受賞したのが、Zoeya Khanさん。彼女は、多様な脳のあり方を個性と捉えるニューロダイバーシティを取り入れ、ボタンを押すと特定の光が出るブレスレットを開発した。自閉症やADHDのある人は、言葉で感情を表現するのが難しいときがある。Zoeyaさんはクラスメイトが感情を表現するのに苦労している様子を見て、感情に応じた光で意思疎通をできないかと考えたそうだ。

子どもたちと若手エンジニアがタッグを組むことも面白いシステムでありながら、そんな場から、友人を想ったテクノロジーが生まれたことも、どこか喜ばしい。形骸化したDEIの取り組みよりも、一人ひとりに寄り添う仕組みや技術が必要なのだと、教えてくれるニュースだ。

【参照サイト】This ‘self-regulating bracelet’ invented by an 8-year-old helps neurodivergent students communicate in school|Good Good Good News

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