京都から循環経済の未来を拓く。「サーキュラービジネスデザインスクール京都」最終成果レポート公開

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私たちが「豊かさ」を語るとき、そこには何が含まれているだろうか。気候変動や資源制約が深刻化する今、単にモノを消費し、廃棄するモデルは限界を迎えている。しかし、新しい仕組みを一から作り上げるのは容易ではない。そんな中、1200年の歴史を持つ京都というまちが、次なる社会への一歩を見せている。

京都の地に根付いてきた、モノを慈しみ丁寧に使い切る「しまつのこころ」。その叡智とサーキュラーデザインを掛け合わせる挑戦が、京都市主催・ハーチ株式会社運営の実践型サーキュラーエコノミー事業開発プログラム「サーキュラービジネスデザインスクール京都」だ。2025年10月から約3か月間のプログラムを経て、集大成となるプログラム参加者の最終成果をまとめたレポートを公開した。

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プログラムの参加者は、地元の企業からスタートアップ、大学生まで、多様なバックグラウンドを持つ。それぞれが、京都市内や京北でのフィールドワーク、カードを使用したワークショップ、プロトタイプ実践などを経て、循環型への移行に必要な根源的要素を模索してきた。

だからこそ、2026年1月23日に開催された最終発表会では、単に資源が再利用されることを超え、社会のあり方そのものを問い直すものが多く発表された。山間部の孤立した家屋をオフグリッド化する事業案や、植物廃棄物を活用した内装材の製造、循環型の暮らしを支えるスマートテクノロジー、研究機器の二次活用を促すコミュニティ型のラボなど、既存システムを循環型へと転換する取り組みが並んだ。

また、空き家の家財道具を「デジタル素材」として再定義する試みや、子ども食堂とプロスポーツチームを繋ぐ仕組みなど、モノや想いを循環させる提案も注目を集めた。

京都市にある共創施設・QUESTION(クエスチョン)を会場に開催された。

プログラム参加者による個別発表の様子。

3ヶ月を伴走した6名のメンターからは、「循環ということ以上に、経済を通して景色を美しくするなどウェルビーイングに近いような京都のシビックプライドの高さを感じた」「自社の利益だけを考える自社最適ではなく、地域の全体最適を考える姿勢が共通していた」などのコメントが寄せられた。参加者たちは、業種や立場を超え、お互いの強みと弱みを補い合うことで、一つのエコシステム(生態系)としてのネットワークを構築し始めているのだろう。

京都から発信された、循環に向けた20のストーリーは、これからのビジネスが歩むべき道を照らす光である。モノや資源が循環し、その中で人が繋がった先に、社会には新しい豊かさが実り始めているはずだ。

プログラム参加者によるプロトタイプの展示も行われた。

本プログラムは、一度幕を閉じる。しかしこれはゴールではなく、京都から持続可能な未来を実装していくためのスタートラインに過ぎない。この学びの場を共にした全ての参加者、メンター、パートナー組織への深い感謝を述べるとともに、この「知の循環」が次なるイノベーションを呼ぶことを期待したい。

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Circular Business Design School Kyotoとは

京都には1200年の歴史の中で育まれた「しまつのこころ」や循環型の暮らし、モノづくり文化など、時代を超えて輝き続ける資産がある。気候変動や生物多様性の保全など地球規模の課題が深刻化する中で求められる循環型の未来を実現するには、これらの叡智を現代に活かし、未来につなぐ創造力が必要だ。そこで、IDEAS FOR GOODを運営するハーチ株式会社では、京都というまちに根付く循環型の叡智と最先端のサーキュラーエコノミー知見に基づく未来志向を掛け合わせることで、ともに欲しい未来を描き、実現するための学習プログラムを2025年10月より開始。「Decode Culture, Design Future 叡智をほどき、革新をしつらえる」──伝統の先に続く循環型の未来を、京都から。

ウェブサイト:https://cbdskyoto.jp/

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Photos by 山川嵐士

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