Browse By

【まとめ】廃棄物を資源に変えるサーキュラーエコノミー事例12選(前編)

リサイクル

サーキュラーエコノミーとは?

ヨーロッパが打ち出したサーキュラーエコノミーという概念が、日本が発達させてきた循環型経済とも相まって国内でも広まりつつある。これまでの資源を「取って、作って、捨てる」という経済(直線的経済/リニアーエコノミー)からの脱却を図り、資源を最大限に生かして永続的に使い続け、循環させていこうという取り組みである。従って、ゴミは次の製品のための資源となるため、ゴミという概念がなくなり、結果的に環境負荷がなくなるというものだ。持続可能な経済を実現する、最も有効だと捉えられている手段である。

この分野の最先端の知見を持つイギリスのエレン・マッカーサー財団はサーキュラーエコノミーを下記のように定義している。

1. 自然のシステムを再生(Regenerate natural systems)
有限な資源ストックを制御し、再生可能な資源フローの中で収支を合わせることにより、自然資本を保存・増加させる。

2. 製品と原料材を捨てずに使い続ける(Keep products and materials in use)
技術面、生物面の両方において製品や部品、素材を常に最大限に利用可能な範囲で循環させることで資源からの生産を最適化する。

3. ゴミ・汚染を出さない設計(Design out waste and pollution)
負の外部性を明らかにし、排除する設計にすることによってシステムの効率性を高める。

この定義で捉え直すと、資源を循環させていくだけではなく、自然環境を再生させていくという野心的な取り組みと言える。欧米を中心にサーキュラーエコノミーの具体的な事業として取り組みが進みつつあり、IDEAS FOR GOODでも紹介してきた。ここではこれまで取り上げてきたサーキュラーエコノミーの事例について紹介したい。

目次
  1. サーキュラーエコノミー × 生活用品
  2. サーキュラーエコノミー × ショッピングセンター
  3. サーキュラーエコノミー × 包装
  4. サーキュラーエコノミー × 循環型農業
  5. サーキュラーエコノミー × 回収システム
  6. サーキュラーエコノミー × 建築
  7. サーキュラーエコノミー × ファッション

サーキュラーエコノミー × 生活用品

01.捨てるという概念を捨てるプラットフォーム「Loop」

容器の所有権をメーカーが取り戻す。サーキュラーエコノミーのプラットフォーム「Loop」の挑戦


日本でも展開をしている「Loop」であるが、発表時は大きな話題となった。Loopは、生活用品の容器を繰り返し使えるものに変え、消費者の利用後は回収・洗浄し、中身を再度充填した上で再び消費者が利用できる仕組みだ。これまで消費財や食品の容器が使い捨てになっていたものが、その便利さを損なわないように、繰り返し使えるものとなる。サーキュラエコノミーの根幹である「ループを閉じる」をまさに文字通り実現しようとしている。P&G、ネスレ、ペプシコ、ユニリーバ、ザ・ボディショップ、ダノングループなどの世界のグローバル企業が参画している。「Loop」を仕掛けたテラサイクル社へのインタビュー記事だ。

02. 廃タイヤからアスファルト道路に。イギリスのTarmac社の挑戦

廃タイヤをアスファルト道路にリサイクル。循環経済を目指すイギリスのTarmac社

イギリス国内で廃棄されるタイヤは約4,000万台。タイヤは輸出されたり埋立地で埋められたりとまだ廃棄物としてみなされている。そんな課題の解決に取り組んでいるのが、インフラ技術会社Tacmac社の廃タイヤを原料とするゴムチップを使用したアスファルト合材だ。アスファルトの上を走るタイヤがアスファルトの材料として戻っていく、循環型の取り組み。

サーキュラーエコノミー × ショッピングセンター

03. リサイクル品のみ取り扱うストックホルムのショッピングモール

ストックホルムに誕生した、世界初となるリサイクル品だけのショッピングモール


サステナブルな暮らし、サーキュラーエコノミーの考え方に即した消費行動を実践したいと思っている消費者も多いだろう。しかし、日本や世界でもその需要に応える供給についてはこれからである。本記事では、リサイクルやアップサイクル品を取り扱う店舗のみを扱う自治体が運営するReTunaというストックホルムのショッピングモールを紹介。衣服、家具、家庭装飾品、家電製品、家庭用品、玩具など生活するものに必要なものが揃えられる。

サーキュラーエコノミー × 包装

04. 食用鶏の「羽」を使ったサステナブルな断熱材

サーキュラーエコノミー賞も受賞!鶏の羽を再利用した、サステナブルな断熱包装


Eコマースが活発になるに連れて、包装資材の増加による環境負荷が高まっている。イギリスのAEROPOWDER社が食用鶏の羽を利用した断熱材「pluumo」を開発してこの問題に取り組んでいる。食用鶏の羽のほとんどが捨てられるか他の動物の餌に加工されている。2018年9月には欧州のサーキュラーエコノミー賞である「2018 Green Alley Award」を受賞した。製品の設計段階から廃棄後のことを想定しておくことはサーキュラーエコノミーの重要な考え方だ。その考え方が体現されたAEROPOWDER社の取り組みを紹介する。

サーキュラーエコノミー × 循環型農業

05. ベトナムの循環型の図書館

本を読むだけじゃない。サーキュラーエコノミーを「体感」しながら学べる、ハノイのVAC図書館


ベトナムのファーミング・アーキテクツ社によって作られたVAC図書館。VACとは、「作物栽培」「水産養殖」「畜産」を組み合わせた複合型の農業システムのことをいう。サーキュラー型農業の一形態であるアクアポニックスという方法を取り入れると同時に子どもたちが本を読める図書館としても機能している。都会におけるサーキュラー型農業システムを肌で感じながら学べるような設計になっている、なんとも贅沢で斬新な図書館だ。

サーキュラーエコノミー × 回収システム

06. さとうきびを使ったストローを作るスタートアップ

さとうきびストローでまちづくり。循環型社会の実現を目指す「4Nature」

プラスチック問題が急速に取り上げられるきっかけとなったプラスチックストロー。生分解性ストローや紙ストローが登場してきているが、バイオ分野においてのサーキュラーエコノミーの肝となるコンポストがなされずに焼却されてしまう現状がある。4Natureはさとうきびからストローを作って回収し、農家でコンポストするインフラを構築。1年で100店舗が導入され、今でも導入店舗数が拡大している。4Natureと実際に導入したBERTH COFFEE (バースコーヒー)のインタビュー。

07. コラボレーションの好事例。ロンドンのコーヒーカップ回収キャンペーン

ライバル同士が手をつなぐ。ロンドンで始まったコーヒーカップのサーキュラーエコノミー


サーキュラーエコノミーは企業・NPO・研究機関・大学・国・自治体・市民など様々なステークホルダーの協働が不可欠となる。また、企業といっても、メーカー・廃棄物処理業者・リサイクル業者・小売・外食など企業同士のコラボレーションも欠かせない。この記事では、ロンドンで廃棄される大量の使い捨てコーヒーカップ(イギリス全体では700万杯/日)を市内に置いている回収ボックスで回収をし、リサイクルをする#SquareMileChallenge(スクエアマイルチャレンジ)の取り組みを紹介する。市・NPO・小売・外食・鉄道会社など様々なステークホルダーが協働しているプロジェクトであるというコラボレーションの視点からも紹介している。

サーキュラーエコノミー × 建築

08. ジャガイモから生まれた建築資材

廃棄予定のジャガイモが建築資材に。サーキュラーエコノミーを実現するChip[s] Board


毎年約3,000万トンもの建築資材が廃棄されているが、建築資材自体を生分解性のものに変えればいいのではないかという発想から生まれた新建築資材で、廃棄予定のジャガイモから作られている。食糧廃棄問題の解決にも繋がる一石二鳥の素材である。

09. まさにサーキュラーエコノミーを体現した家具のブランド

家具のサーキュラーエコノミーを実現するイギリスのスタートアップ「Pentatonic」


スマートフォンなどの電子機器や空き缶、廃棄された衣料品、タバコの吸い殻など、廃棄物を原材料として家具づくりに取り組んでいる持続可能なホームウェアブランド。その家具には化学薬品が使われておらず、デザインもシンプルでモダン。サーキュラーエコノミーのキーワードである「モジュール」化も実現している。使用済みの家具は回収され、再製品化されるシステムも整えている。

サーキュラーエコノミー × ファッション

10. オーガニックコットンの服が循環される子ども服

成長したら次の子供に受け継ごう。サーキュラーエコノミー時代の子供服「UpChoose」


すぐに成長する子ども服は日本でも古くから循環させる仕組みが整ってきた分野でもある。肌が敏感で発達途上にある子どもにオーガニックコットンを着せたいという需要もある。サンフランシスコのスタートアップUpChoose社は、インターネットのプラットフォーム上で、親がオーガニックコットン製の服を購入し、成長したら返却するという仕組みを整えた。「気軽に、なるべく安価で」という点が特徴である。サーキュラーエコノミーにおいても大切な考え方となる「所有から利用へ」の一例とも言える。

11. ファッション業界のサーキュラーエコノミー化を実現させるための助っ人

マイクロチップで服を追跡。ファッション業界の完全なサーキュラーエコノミーを実現する「Circular ID」


ファッション業界においてサーキュラーエコノミーを実現させるためには、「情報」が必要となる。ブランド・カラー・価格・原料・生産国、という情報に加え、服がどのように販売・購入・リセールされてきたかという製品ライフライクルの各段階における情報が衣類に埋め込まれたIDによって確認することができる。

12. サーキュラーエコノミーの好事例。MUD Jeansの取り組み

買わずに借りるジーンズ?1年後に返すと素材が再利用されるMUD Jeans


サーキュラーエコノミーの5つのビジネスモデル「再生型サプライ」「回収とリサイクル」「製品寿命の延長」「シェアリング・プラットフォーム」「サービスとしての製品」のうちの少なくとも4つ「再生型サプライ」「製品寿命の延長」「回収とリサイクル」「サービスとしての製品」を体現したサーキュラー型ビジネスモデルの先進事例としてよく取り上げられるMUD Jeans。同社はジーンズを売らずにレンタルし、借りている人は返却の際にジーンズをそのまま自分のモノにするか、新しいジーンズと交換するか、それとも返却するかを選ぶことができる。

まとめ

いかがだっただろうか?以上、13のサーキュラーエコノミーの事例を取り上げた。どの事例も先進的であり、サステナブルな暮らしを実現したいという需要側の要望に答えている。また、特にステナビリティに対しての意識がなくても、デザイン性や耐久性、実用性からも評価されているため、どれも大きな可能性を秘めている。

コンサルティングファームのアクセンチュアの調査によると、サーキュラーエコノミーに移行することによって、2030年までに4.5兆ドル(480兆円)もの経済効果が想定されている。冒頭のエレン・マッカーサー財団の定義も加えると、4.5兆ドルの経済効果に加えて、自然環境も再生をしていくというデカップリング(経済成長と環境への影響を切り離すこと)以上のことを起こすになる。

このような大変革を起こすサーキュラーエコノミーにおいては毎日のようにGOODなニュースが取り上げられている。引き続きIDEAS FOR GOODでも最新の事例をお届けしていく。

まだまだサーキュラーエコノミーの事例を知りたい方は、ぜひ「欧州サーキュラーエコノミー特集」も見ていただきたい。

FacebookTwitter