通学路にはスパイがいっぱい。安全な道路をみんなで作るアプリ

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最近では、自動車がもたらす環境への悪影響や、健康への配慮から、市民に対して自転車やウォーキングでの移動を奨励する自治体が増えている。しかし、人々が安心して街の中を歩いたり自転車で走ったりするためには、交通事故が起こらない、安全な道路とインフラが必要だ。

ノルウェーの首都オスロでは、安全な道路づくりに向けて、子供たちと協力した新しいプロジェクトが始まっている。ノルウェーの都市環境庁、ノルウェー交通リサーチセンター、そしてオスロ市教育委員会が共同で開発したのは、学校に通う子供たちに危険な道路を見つけるスパイをしてもらうアプリ「Traffic Agent」だ。

このアプリは、子供たち一人一人をエージェントとして登録し、通学路の途中で危険な場所を見つけたら、アプリを通じてレポートしてもらうというものだ。参加する子供たちは、交通量が多い場所、車がスピードを出している場所、視野が悪い場所など、歩行者にとって危険なスポットをスパイとしてゲーム感覚で報告することができる。

都市環境庁らは、アプリを通じて収集されたGPSデータと子供たちの口コミ情報に基づいて改善すべき道路の場所を特定し、道路補修や横断歩道、信号の設置など優先順位の高い場所から効率的に道路・インフラの整備を進めていく。

同プロジェクトには地元のPTAも協力しており、より多くの子供たちがスパイ活動に参加できるよう声がけが進んでいるという。同地域に暮らす43,000人以上の子供が集めたビッグデータを活用すれば、道路の改善もすぐに進むに違いない。

都市計画の担当者が自力で街中の道路の問題点を洗い出し、優先順位をつけるのには途方もない手間と労力がかかるが、その作業を地元の子供たちに楽しみながらやってもらえば、インフラ整備の効率と精度も大きく上がり、一石二鳥だ。ゲーミフィケーションやビッグデータの活用といった要素を兼ね備えた、優れた公共プロジェクトの事例だと言える。

【参照サイト】Traffic Agent

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