自転車乗りがまちを作る。チューリッヒの“超・民主的”なSNS「Bikeable」

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人々が「自分の意見がまちづくりに反映されている」と感じる機会は、普段あるだろうか。

市民参加型のワークショップを開催したり、手紙やメールで意見を聞いたりするのとは違う方法で、市民とのコミュニケーションを模索しているのが、スイスのチューリッヒ市だ。

同市は、自転車で走りやすい街をつくるためのチャット型プラットフォーム「Bikeable」を活用し、「この道を改善してほしい」という市民の意見に目を通している。そして、必要に応じて投稿にコメントし、改善できそうな道を変革している。

市民から寄せられる意見は、「この道に自転車専用レーンがないので改善してほしい」「ここに駐輪スペースが欲しい」などだ。市民は、改善してほしい場所の写真をアップロードし、オンラインマップで場所を指定する。道が改善されたら、再びその場所の写真をアップロードし、以前との違いを確認できるようにしている。

Bikeableは、市民同士が議論できる場でもある。Bikeableに登録すると、誰もが投稿にコメントし、自転車で走りやすい道にするための議論に参加できる。たとえば、「ここに自転車専用レーンがない」という問題提起に対して、「バス専用レーンを自転車に開放する」「自転車専用の橋を作る」といった解決策が提案される。

問題提起に賛同する場合は、ハンドサインのアイコンを押して、その場所に注目が集まるように協力することも可能だ。「いいね」ボタンと同じような役割を果たしている。

登録すれば誰でも閲覧できる、社会に開かれたプラットフォームで、行政の担当者と市民が議論する様子が新鮮ではないだろうか。問題解決に焦点を当てて話し合う姿勢も見習いたい。

Bikeableは、まちづくりに携わる企業で働く人やジャーナリストなど、立場の異なる人たちが、多様な視点を提供できる場になりそうだ。多くの人が、「自分もまちを作っている」という意識を持つようになるといい。

【参照サイト】Bikeable
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