オフィスにとって、そこで働く人々が来客や打ち合わせに使用できる会議室は必須のスペースだ。使いたいときに会議室が空いていなかったときのフラストレーションは、誰もが一度は感じたことがあるだろう。
一方で、会議室は常に使用されるスペースではないため、数を用意しすぎるとスペースの無駄遣いとなってしまうこともある。この「利用者の利便性」と「オフィススペースの有効活用」という双方のバランスをいかに実現するかは、快適なオフィスづくりにおける一大テーマでもある。
この「会議室問題」に、斬新なアプローチから取り組んでいるプロジェクトがある。MITのSelf-Assembly LabとGoogleが共同で製作したのが、天井から降りてくる「Transformable Meeting Spaces(可動式会議室)」だ。コンセプトが新しすぎて言葉だけではイメージが掴めないと思うので、まずは下記動画を見て頂きたい。
この不思議な形をしたキュービクルは変形可能な36本のファイバーガラスで作られており、外部の騒音をシャットアウトしたプライベート空間を作るために外殻がベニヤ板で覆われている。
利用者は中心に設置された棒を引っ張るだけで簡単に天井からキュービクルを降ろすことができ、あっという間に8人ほどが収容できる会議室を作ることができる。ミーティングが終わればまたキュービクルを天井に戻せば、そこは元のフリースペースに早変わりだ。
この仕組みであれば必要なときだけプライベート空間がさっと作れるので、スタッフ同士の簡単な打ち合わせなどはその場で行うことができ、とても便利だ。実用性についてはまだ課題もありそうだが、「会議室」という存在を再定義したこのプロジェクトは、未来のオフィスの形に新たなインスピレーションを与えてくれる。
普段から当たり前のように使っている会議室も、「人々がプライベートな環境で話し合えるスペース」という目的に立ち返ったうえで最適な形をゼロベースから考えたとき、今の形が本当にベストなのかは分からない。このGoogleとMITによるユニークな実験は、何気ない日常から革新的なアイデアを考えるためのヒントになる。
【参照サイト】Transformable Meeting Spaces
(※画像:Transformable Meeting Spacesより引用)