待ちに待った愛しい我が子の誕生。そんな感動もつかの間、すぐに始まる24時間体制の子育ての日々。最初は大感動していた夫も、毎晩のように続く我が子の泣き声に眠ることができず、体力も限界に。やがて慢性的な睡眠不足に陥り、幸せだったはずの新しい家族に不穏な空気が流れ始める。
産後うつやクライシス・児童虐待などの問題もこの睡眠不足が要因となり引き起こされるとまで言われている。そう、赤ちゃんにとってはもちろん、産後の親にとっても睡眠の確保は非常に重要なことなのだ。
そんなパパとママをサポートしてくれる画期的なベビーベッドが誕生した。それが、最先端のIoTテクノロジーを駆使して作られた、世界初のスマートベビーベッド「SNOO」だ。デザインしたのは、スイスのデザイン会社Fuseprojectを率いるYves Béhar氏。
同氏は世界的に有名な小児科医博士Harvey Karp氏の協力のもと、赤ちゃんを泣きやます方法論の研究と赤ちゃんの泣き声や動きに反応するロボットバシネットの開発を進め、ついにこの革新的なベビーベッドSNOOを完成させた。
SNOOの設計を考える上で最も重要視されたのは「安全性」と「使いやすさ」だ。全ては夜中に赤ちゃんの世話をする親のために考え抜かれて設計されており、「世界で最も安全なベビーベッド」と断言されている。
シンプルでスタイリッシュ、コンパクトで機能的。SNOOの中にピッタリと収められた赤ちゃんの様子を見ると、宇宙船に乗っているようなイメージを受けるが、これこそが赤ちゃんに最も安心感を与えるデザインだという。
赤ちゃんにとっては、生まれる前に過ごした母親のお腹の中が最も安心感を得られ、深く眠ることができる場所であり、このSNOOはその環境を模倣して、抱擁感や温度、揺動運動を与えてくれるように作られているのだ。
赤ちゃんの泣き声を感知し、外部とのノイズを区別するための3つのマイクロフォンが、赤ちゃんをぐるりと囲むメッシュ層の中に取り付けられている。そして、揺動運動をスムーズに行うため、非常に柔軟な素材で造られたマットレスの下にはセンサー、スピーカー、ロボットエンジンが搭載されている。
また、安全性の確保のため、両サイドにあるフックに、赤ちゃんを抱擁した状態で引っ掛けていなければ、SNOOの動きは完全にブロックされる構造となっている。
さらにこだわりはベッド自体の素材にも行き届いており、赤ちゃんの肌に触る部分は全てオーガニックコットン、洗濯も簡単にできるように作られているという。
睡眠がしっかりと確保されるだけで、家族の環境は驚くほどガラリとかわり、穏やかな暮らしがやってくる。それは夫婦間にとっても赤ちゃんにとってもとても大切なことだ。
これまで、親は全て自分の手で赤ちゃんが泣き止むまで夜通しおんぶや抱っこであやしていた。それも素敵なことではあるが、現代社会ではすぐに職場復帰をする母親も多く、また夜中の泣き声が近隣トラブルにつながるなどのストレスもある。
SNOOのように、機械に全てを頼るという考えではなく、あくまで機械のサポートを得ながら体力や精神面への負担を少しでも軽くできるのであれば、そこに技術が進化する意味があると言えるのではないだろうか。
【参照サイト】SNOO Smart Sleeper
【参照サイト】fuseproject