包装業界の革命と称した、新たなプロダクトがベルギーで開発された。Slimboxという名を持つその製品は、ありとあらゆる形と種類の商品に完璧にフィットする、カスタムメイドの段ボール箱を作ることができるアプリとカッターだ。
考案したのは、ベルギーで30年以上にわたり事業を続けてきた印刷会社、Fit Thingsだ。家族経営で事業を営むこの会社が、商品を発送するにあたり常に頭を悩ませていたのは、その商品に合った適当な大きさの梱包箱が見つからず、毎回探さなければならないということだった。
しかも、送りたい商品が規定外のサイズだったり突飛なデザインだったりする場合、より大きなサイズの箱を用意する必要があり、それゆえに箱の内部には大量の保護材が必要となるだけではなく、配送料の増加や在庫スペースの確保など余分なコストがかかっていた。
これらの問題を解決するために同社は自社の梱包箱を商品の大きさや形状に応じて自由にカスタマイズできる機械を探していたが、そのようなものはどこにも見当たらなかった。最後は自分たちで作るということになり、結果として生まれたのがSlimboxなのだ。
シンプルでコンパクトなデザインのSlimboxは、アプリ一つで操作を行うことが可能な段ボールカッターだ。機能性に富んだこの製品は、型どりした箱を機械とアプリが自動的にアップデートしてくれ、ユーザーが頻繁に使用する形状の箱を記憶してくれる。また、切断速度と強度も自動的にチェックし、オーダーメイドの形で梱包箱を仕上げてくれる。
使用方法もいたって簡単で、Slimboxアプリからサイズを選択するか、またはオリジナルの寸法を入力し、ワンボタン操作でプロセスが完了となる。また、インターネット環境がない場合はUSBやワイヤレス接続での使用もできる。箱自体の強度調整をしたい場合には、最後に作成した箱に完全に収まる形の箱を内側に作ることも可能だ。
Fit ThingsがSlimboxを段ボール専用のカッターとして開発したのには理由がある。段ボールは非常に高い強度と耐久性を持っているだけではなく、大部分が再生紙および厚紙から作られているため環境にも優しいという性質があるからだ。
同社によると、Slimboxを利用してこの環境に優しい段ボールを商品の梱包に必要な最小限のサイズに切り取ることで、CO2排出量は40%削減され、その他にも廃棄物の削減や材料のより効率的な利用など様々な好影響が生まれるという。
また、Slimboxは環境に優しいだけではなく、保護材の使用削減や段ボールの再利用による梱包・輸送コストの削減、さらにはサイズの合う梱包箱を探す手間やそれらをストックするための倉庫管理スペースの削減など、様々なビジネス上のメリットを企業にもたらす。
Fit Thingsはゼロエミッション方針を導入することで地球を救うことを支援したいと考えており、炭素排出量の削減や余った材料の再利用により、緑ある未来を一緒に築き上げていこうと呼びかけている。
新しいビジネスを起こすということは、よりよい製品やサービスを開発してお金を稼ぎ、雇用者や自身の生活を支えるということだ。しかし、そこに「社会をよくするための何か」というプラスアルファを加えることができれば、より人々に愛されるビジネスになるのではないだろうか。
もともとは自社のビジネスのために作られたアイデアでありながら、地球環境にも考慮しされているSlimboxのようなプロダクトは、思わず誰かに伝えたくなる商品の一つだ。