あなたが今読んでいるニュースは、100パーセント信頼できるものだろうか。一つの物語が報道されるとき、その内容がどこに焦点を当てているのか、どのような思想を持つ人がその物語を伝えたのかなど、語り手によって伝えられる内容やイメージは大きく変わりうる。
自分のお気に入りのメディアが配信する情報や一方の意見のみに偏っているニュースだけを頼りにして物事を知った気になるのは、あまりにリスクが大きすぎるかもしれない。「フェイクニュース」や「情報操作」が溢れる今の時代では、世の中で起きていること、自身の国で起きていることをまんべんなく中立の立場で知ることでしか見えてこない「真実」がいっぱいあるからだ。
ブレグジットやトランプ大統領の選挙時にも話題になったが、インターネット上では皆が自分に都合のよい、自分の考えを支持してくれる情報ばかりを積極的に収集しようとするため、それにより偏った思想がより強化されていく傾向がある。その結果、あらゆる情報にフラットにアクセスできる便利なツールだったはずのインターネットが、逆にコミュニティや人々を分断する装置として機能してしまうリスクを孕んでいるのだ。
この懸念を改善するため、ニュースやソーシャルメディアなどで情報を集める際に、情報収集源が偏らないよう自分がよく目にするものと反対の意見を記した情報を提示してくれるアプリ、「Read Across The Aisle」が登場した。このアプリはそうした人々の分断をなくし、異なった見方に触れる機会を与えることで、より客観的なものの見方や多様性のある見方ができるよう助けてくれる。
このアプリはユーザーがアクセスしているニュースソースの偏向を追跡し、どちら寄りの意見を好んで読んでいるのかをわかりやすく色つきのバロメーターで知らせてくれる。そして、どちらか一方の意見だけが含まれたニュースだけを読むことのないよう、双方の見方から報道された、信頼できる新しい情報を自動的に見つけて提供してくれる。
ニュースやソーシャルメディアで目にする情報は、友人や家族、似たような考えをもった人たちによって共有された情報が主であり、実際にはそれとは異なる視点での情報も存在するということに無関心になりがちだ。その部分をこのアプリが補ってくれるのだ。
先日IDEAS FOR GOODでも、世界の分断を緩和する「The Perspective」というニュースサイトをご紹介したが、このニュースサイトもやはり「釣り合いの取れた見方」に重点を置いており、同じ事象が全く異なる2つの視点から論じられている模様を同時に見ることができるという新感覚のメディアとなっている。
世界中のニュースをほぼリアルタイムで見ることができるようになった今、世界は情報に溢れており、そのことに対しすべての人が平等にシェアし、意見することができるようになった。ソーシャルメディアに書き込まれるたくさんの人の意見に賛同するだけではなく、両方の側面を見たあなたはその問題に対してどう感じ、どう考えるのか。アプリ「Read Across The Aisle」は、多様性を持って物事知ることの重要さを改めて考え直させてくれ、人々の分断や意見を穏和してくれる救世主となってくれるだろう。
【参照サイト】Read Across The Aisle