ベビーカーの高さが最も危険。乳幼児を大気汚染から守るIoTクッション「Brizi」

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乳幼児を子どもに持つ親であれば、外出時のベビーカーは必須アイテムだ。しかし、外出時に子どもをベビーカーに乗せるという行為が、実は乳幼児の健康に大きな害を及ぼすリスクを孕んでいるという事実をご存じだろうか。そのリスクとは、ずばり大気汚染だ。

ベビーカーに乗せられた子どもの位置は、通常地面から約30〜60cm上の高さにあり、その高さは車などの車両排気管と非常に近く、空気中の汚染物質が集中するエリアになっている。そして、この高さの汚染物質レベルは、成人の呼吸ゾーンの2倍であるといわれているのだ。つまり、ベビーカーに乗ることによって、子どもたちは大人よりも多くの汚染された空気を吸っているということになる。

乳幼児期の肺は完全に形成されておらず、脳が発達していく上での重要な段階にある。特に、5歳未満の子どもの免疫力は未熟なため、大気汚染による長期的な健康リスクは高い。この時期に大量の大気汚染にさらされてしまうことで肺や脳の発達に影響を与え、喘息、アレルギー、肺機能低下、慢性咳嗽および気管支炎などの呼吸関連疾患、さらには認知発達障害や痴呆を引き起こす可能性が出てくるとされている。

健康に影響を与えるこの危険な状況を改善し、ベビーカーやカーシートに乗った子どもを大気汚染から守るためにロンドンで開発されたのが、IoTクッションの「Brizi」だ。

Briziは、ベビーカーに枕のように設置できるように設計されており、子どもの頭周辺をぐるりと囲むクッションには高機能ファンフィルターが埋め込まれている。このファンフィルターが空気中の有害なガスや微粒子を検出し、子どもが呼吸をするゾーンの空気から汚染物質をろ過、清潔な空気1.5リットルを10秒ごとに送ってくれる。この仕組みにより、子どもが呼吸をする一帯は常にクリーンな空気環境に保たれる。

空気が汚れていることを検知してくれるBriziセンサーは、人間の健康にとって最も危険なガスである二酸化窒素と一酸化炭素を主とした有害ガスの検出と、直径2.5マイクロメートル以下の粒子状物質を検出してくれる。

またクッションと連動しているBrizi Appは、このアプリを利用するすべてのユーザから公害情報の汚染データを収集し、どの道の空気がより綺麗なのかをアップデートしてくれ、それを随時確認することができる。

ロンドンで行われたBriziのプロトタイプ試験では、通常の歩道では汚染レベルを49%軽減し、アイドリング車近くの道路上では最大80%の汚染を軽減できたという結果が出ている。

親であれば、大切な我が子に忍び寄るあらゆる危険はできるだけ避けたいと思うのは当たり前のことだ。実はこのBriziも、開発者自身が子どもを持ったことがきっかけで作られた。卓越した技術とリアルな親心から生まれたこの製品が、未来を担うたくさんの子どもたちを大気汚染から守ってくれることを期待したい。

【参照サイト】Brizi

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