イギリス航空大手のBritish Airwaysは9月18日、同社のジェット燃料を家庭ゴミから作られた持続可能なジェット燃料に転換する計画を発表した。再生可能なバイオ燃料の製造を手がけるVelocyとパートナーシップを締結し、新たなジェット燃料の開発を進める。
仕事や旅行、貨物の運搬など、飛行機は現代の生活になくてはならない移動手段となっている。しかし、飛行にあたっては多くの温室効果ガスが排出されるなど、地球環境に与えるダメージは少なくない。また、ゴミの量を減らすことも地球全体の大きな課題である。現在、British Airwaysが本拠を置くイギリスでは1年間で1500万トンものゴミが埋立られているという。この2つの大きな問題を同時に解決するのが、今回発表されたBritish Airwaysの計画だ。
同社が計画するジェット燃料製造工場では、埋立てや焼却が予定されている家庭ゴミを1年間で数十万トン扱う。生ゴミやオムツ、プラスチック、チョコレートの包み紙などをクリーンで持続可能な燃料に変えるのだ。British Airwaysは2050年までに排気ガスの排出量を50%削減すると公約しており、今回の工場計画はこの公約達成に向けた大きな一歩となる。
工場で作られた燃料は、ロンドン発サンホセ行き、カリフォルニア行き、ニューオリンズ行き、ルイジアナ行きのBritish Airwaysの787ドリームライナー全便に年間を通して供給される予定だ。この供給規模は世界初となる。British Airwaysは今後10年間でさらに持続可能な燃料を増やしていく予定だ。
さらに、この計画は世界全体のCO2排出量削減や空港周辺の大気質向上にも大きく貢献する。この工場でゴミから作られたジェット燃料は、これまでの化石燃料と比べて温室ガスを60%削減し、1年間で6万トンのCO2を削減できるのだ。
今回のBritish Airwaysの計画に先立ち、イギリス交通局は先日、再生可能な燃料をジェット機も含めた交通機関に義務づけることを発表したばかりだ。これは、今後長期にわたって持続可能な飛行を促進していくものである。
私たちの現代の移動手段として不可欠な存在である飛行機と、毎日の生活の中でどうしても生まれるゴミ。この2つを上手く組合わせた試みが、今回のジェット機燃料を家庭ゴミから作るという計画だ。行政と企業、そして私たちみんなで地球に優しい環境を作っていきたいと切に思う。
【参照リリース】BRITISH AIRWAYS POWERS ITS FUTURE BY TURNING HOUSEHOLD RUBBISH INTO JET FUEL
(※画像:British Airwaysより引用)