気候変動にブロックチェーンで立ち向かう。エコな消費をすると報酬がもらえる「CarbonX」

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気候変動と言えば誰もが認識している世界共通の社会課題だが、実際にこの問題を「ジブンゴト」として捉え、毎日の生活の中で少しでも環境に優しい選択をしようと意識している人はどれだけいるだろうか?

いくら頭ではCO2の排出を減らすことが大事だと分かっていても、気候変動の国際会議に飛行機に乗って参加しなければいけないような現代では、気候変動問題の解決を個人の意思だけに頼るのは難しい。

このジレンマを克服するために、ブロックチェーン技術を活用して消費者が環境に優しい購買行動をとればとるほど報酬を得られる仕組みを作ろうとしている企業がある。それが、世界初となるPeer to Peerのカーボントレーディング(排出権取引)プラットフォームの開発を進めているカナダのブロックチェーン企業、CarbonXだ。

CarbonXの仕組みはこうだ。まず、CarbonXはREDD+(レッドプラス)と呼ばれる気候変動を抑制するための国際的メカニズムの規定に基づきCO2排出権を購入し、それを「CxT」と呼ばれる換金可能なトークン(暗号通貨)へと転換する。次に、CarbonXは発行したCxTトークンを小売企業やメーカーなどに販売する。そして、CxTトークンを購入した企業は、よりCO2排出が少ない製品やサービスを購入する消費者に対してCxTトークンを付与することで、消費者のエコな選択を動機づけするというシステムだ。

例えば、消費者は遠くから輸送されてきた食材ではなく地元でとれた食材を購入したり、よりエネルギー効率の高い家電製品を購入したりすることでCxTトークンを手にできる。また、手に入れたCxTトークンはまた別の商品の購入に利用することもできるほか、CarbonX上のプラットフォームで取引もできるし、その他の暗号通貨に交換することもできる。企業は商品やサービスの購入に対していくらのCxTトークンを付与するかを自由に決めることができる。CxTトークンの全ての取引はイーサリアムベースのプライベートブロックチェーンに記録され、透明化される。

企業はCarbonXからCxTトークンを買うメリットは、一般的なカスタマー向けポイントプログラムなどと同様だ。消費者はCarbonXのプラットフォームを利用する際に、日々使用している製品や交通機関などのエネルギー利用状況を登録するが、企業はそれらの匿名ユーザーデータやCxTトークンの取引履歴にアクセスすることができ、そのデータに基づいてより効果的な製品のリコメンデーションやマーケティングを展開することができる。

また、CarbonX自体は、CxTトークンのトランザクションから少量の手数料を得ることで初期のCO2排出権購入費用を賄い、プラットフォームを運営していくというビジネスモデルだ。CarbonXは2018年の上半期までに消費者向けのアプリの開発を完了させ、このプロジェクトに参画する最初のパートナー企業を公表する予定だ。

より環境に優しい商品やサービスを購入することで報酬を得られるとなれば、消費者はわざわざ言われなくても自ら進んでよりエコな選択をするだろう。また、そうした製品がよく売れるようになれば、企業としてもより環境性能の高い製品やサービスを開発するインセンティブにつながる。ブロックチェーンを通じて「いいことすればするほど得をする仕組み」を実現しようとしているCarbonXの取り組みは、世の中の消費の常識を大きく変える可能性を秘めている。ぜひ今後のプロジェクト展開に期待したいところだ。

【参照サイト】Carbon X

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