2017年の消費電力の43%を風力発電でまかなった国、デンマーク

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環境先進国として知られる北欧デンマーク。廃棄物の削減やリサイクルなどさまざまな取り組みが行われているが、国をあげて力を入れているのは、再生可能エネルギーの開発だ。なかでも風力発電は、安定して強い風が吹くこの国で強い存在感を示している。

昨年2017年は、デンマークの風力発電において記録的な年となった。総発電量は1万4700ギガワットにのぼり、国全体の消費電力の43,6%を風力だけでまかなったのだ。2015年の42%を超えて、過去最高記録を更新している。日本でいう九州とほぼ同規模の小さな国とはいえ、これだけ風力が消費電力の大きな割合を占めることは、世界でも他に類を見ない。

ここで注目したいのは、国内の風力タービンの設置数自体は、2001年に比べると約20%減少したということだ。テクノロジーの発達に合わせてより大きく、効率的に発電ができるタービンを導入したため、多く設置する必要がなくなったのである。さらに近年、再生可能エネルギーは安価で利益率の良いエネルギー調達方法となりつつある経済的な背景もある。

推移を見ると、年々風力発電の使用割合が上がっていることがわかるだろう。

デンマークの風力発電

Image via Dansk Energi

もはや風力大国と言っていいデンマークだが、もともとは風力の使用割合も、エネルギー自給率も高くはなかった。1972年まではエネルギーのほとんどを石油に依存しており、エネルギー自給率はわずか2%である。翌年の石油危機を転換期としてクリーンエネルギーへの代替を模索した結果、海に囲まれた平らな国土を活かした洋上での風力発電という、現在の政策につながっているのだ。

デンマーク政府は2020年までに風力発電の割合を50%に引き上げ、太陽光やバイオマスを含めた再生可能エネルギー全体で国内の消費電力の80%以上をまかなうことを目標としている。最近はバルト海や北海の沿岸で新たな風力発電所が開発されているため、さらなる活発化が期待できる。

わたしたちが暮らす日本とデンマークは国の規模も気候も違うため、環境への取り組みを真似することが正しいとは限らない。デンマーク国民の環境への意識の高さは見習いつつ、こちらは地に足をつけて、山や川など日本独自の豊かな自然との共存方法を考えよう。

【参照サイト】Danmark sætter ny rekord i vind
(※画像:Dansk Energiより引用)

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