NY発、ブロックチェーンでホームレスにデジタルIDを提供するアプリ「Fummi」

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今年初めにアメリカ東海岸を襲った記録的な大寒波は、多くの死者を伴った。被災地域の中心ともいえるニューヨークでは、大寒波でなくても例年のこの時期の平均最低気温はマイナス20度をこえる。世界的な大都市として富が集中する一方、貧困に多くの人が苦しむ矛盾も抱えている。この街の凍てついた路上で暮らすホームレスは、まさに命がけだ。

そんなホームレスのニューヨーカーを、ブロックチェーン技術を用いて支援する新たな方法が誕生した。テクノロジー企業Blockchain for Changeが開発するアンドロイドアプリ「Fummi」は、ブロックチェーンに基づくデジタルIDによって貧困層や恵まれない境遇の人々のための身分証明書の作成を手助けし、必要なサービスを受けられるようにしている。

Fummiの重要な機能は3つある。デジタルIDの発行、スマートウォレットによる安全なお金の保管、そして支援サービスの提供者とホームレスのためのマーケットプレイスだ。

Fummi

Image via Blockchain for change

ニューヨークの約3000人のホームレスの人々は、プロジェクト展開の一環としてLife Wirelessが提供するスマートフォンを受け取り、デジタルIDの作成を開始する。Fummiが搭載された携帯電話は、ブロンクス区で生活するホームレスの重要なライフラインとなる。

Fummiを活用することによって、ホームレスひとりひとりのアカウントをブロックチェーンシステム上に作成し、サービス料金を受け取り、活動を追跡することが可能になる。たとえば避難所へのチェックインや、シャワー、散髪、衣服に支払った金額の可視化、利用可能な残高の表示などだ。このプラットフォームは、ホームレスが望む生活を創造するために必要な力になるだろうと期待されている。

ブロックチェーン技術の発展は、以前IDEAS FOR GOOD内でも紹介した難民のためのプリペイドマスターカード偏りのない情報発信プラットフォームの誕生、さらに最近発表された数々のイノベーションなどから明らかだ。

ホームレスとは、文字通り定住する家がなく、保護や支援をするにもその基本情報となる住所がない人たちのことだ。個々の状況を把握して適切な支援を行い、その経過をモニターするのは簡単なことではない。社会から取り残されがちなこういった人々を助け、より公平な社会を築くために、革新的な新技術であるブロックチェーンが大いに役に立ちそうだ。

【参照サイト】Fummi
(※画像:Blockchain for Change

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