日常のなかで、パナソニックの製品を見かけずに過ごすことは難しい。車のバッテリーから飛行機まで、最新の技術でわたしたちの生活を便利にしてくれる同社だが、いま注目すべきは家電でもパソコンでもない。アメリカ、コロラド州のデンバー空港近くで建設を進めている、規格外のスマートシティ「CityNOW」である。これは、人々の生活を取り巻く環境そのものである都市を作るという計画だ。
スマートシティという言葉に耳慣れない印象を受ける人も少なくないだろう。スマートシティとは、技術によって経済成長と環境保護の両立を可能にする都市のことを指す。都市に存在する交通機関や工場、学校、病院、発電所などあらゆるインフラにおいて、経済と環境を考慮した仕組みが望まれる。
たとえば屋内を常に適温に保ちながら太陽光発電をし、余った電気を必要なところに効率よく提供できる家が並ぶ街。都市全体でエネルギーを管理し、急な災害時に発電所が機能しなくなっても途切れることなく電力を提供できるような街。自動運転車で他車の位置や目的地を感知し、最適ルートを発見して渋滞や事故、エネルギーコストを下げる街。豊かで便利な暮らしをしながら、環境も守る。それがスマートシティのコンセプトだ。
パナソニックが今回建設中のスマートシティは、東京ドーム約34個分の広さを持つ。今春には空港とつながり、自動運転車での移動がしやすい道路ができる予定だ。CityNOWは災害時にも数日間街全体に電力を行き渡らせることのできるソーラーパネルのマイクログリッドや、省力LEDによって構成された街灯、カーボンニュートラルな空間など、これからの時代に必要なサステナブルな特徴を多数兼ね揃えている。
実は、パナソニックはすでに日本の神奈川県藤沢市にスマートタウンを作っており、二酸化炭素の排出量を通常の30%に抑えるなどの成果をあげている。同じく神奈川県の綱島や兵庫県芦屋市にも展開しており、これらの経験がデンバーでのCityNOWの開発に活かされている。同社の意欲的な取り組みは、8年以内に完成する予定だ。
近年注目されている再生可能エネルギーに関するいくつもの技術革新に加え、都市全体でエネルギー効率を見直すスマートシティというコンセプト、そしてなにより経済成長と環境保護を両立するという高い志が、人類を新たな挑戦に向かわせている。CityNOWの今後に期待したい。
【参考サイト】Panasonic is Helping the City of Denver Create a Brighter Future
(※画像:Panasonicより引用)