2月14日のバレンタインデーに女性から男性にチョコレートを贈る文化は日本独自のものだ。欧米諸国では手紙を添えて花束を贈ることのほうが一般的であり、そこに性別は関係がない。心のこもったプレゼントは嬉しいものだが、贈られる過程にまで気に配ることができたらさらに素晴らしいことだろう。
アメリカの花業界の市場規模は数十億ドルで推移しており、国内には15,000もの小売業者が存在する。しかし、花が売り物になるまでに1/3が廃棄されていることはご存知だろうか。花業界のサプライチェーンには、倉庫業者に輸入業者、配送業者など伝統的に多くの業者が介在しており、花が切られてから消費者に届くまでに17日以上かかる。そのため、花の多くが途中で売り物としての価値を失い、廃棄処分になってしまうのだ。
大切な人に贈る花は大切に届けられてほしい、そんな方のためにアメリカのフラワーデリバリーサービスの「Bouqs」が花業界を激震させるアプローチを始めた。中間業者を通さない、エシカルな流通経路を作っているのだ。
Bouqsのデリバリーサービスでは、消費者の近くにいる花の作り手を紹介し、注文されてから早ければ1日、遅くとも1週間で手元に届くようにしている。花が切られるのは注文が入ってからなので、新鮮で廃棄も少ない。
中間業者がいらないぶん、消費者が支払う額は小さくなるにも関わらず、花の作り手に入る額は大きくなっている。Bouqsによれば、通常よりも20%前後の収入増加があるそうだ。花の作り手に対するこのような報酬は、適切な労働環境を支えるポイントだ。
さらに、Bouqsの花は生産に関してもエシカルだ。多くの化学薬品は使わず、土壌が持続可能な形で生産されている生産業者だけが選ばれているからだ。環境問題についても明確な課題意識を持っており、その解決のために機能しているというわけだ。
同社のクリエイティブディレクターのデイヴ・プラフチャン氏は「Bouqsは、花の作り手の持続可能性を支援する非常にユニークな企業です。環境に優しく、世界中の農業に対して責任を持っています」と述べた。
環境と労働者の両方に配慮するエシカルなビジネスを行う企業が増え、消費者も意識が高まれば、将来的には「エシカル」という言葉を使う必要がなくなるときも来るかもしれない。バレンタインの贈り物として、このような事例が増えることを望む。
【参照サイト】Bouqs