現在さまざまなファストフードチェーンが、「ファストフード」の持つ不健康さや大量廃棄といったイメージを払拭するための改革に取り組んでいる。その中でも特に熱心に活動する企業の1つが、アメリカで人気のドーナツショップであるダンキンドーナツだ。
同社は、現在店舗で使われる発泡スチロール製カップを2020年までに完全廃止することを発表した。今春にカリフォルニア州から段階的に取り組みを始め、将来的には、北米の森林保護基準(SFI)を満たし、現在一部の店舗でも導入している耐熱二重紙を使った持続可能なカップに切り替えていくという。これにより、リサイクルされず廃棄されるカップの数は年に10億個以上減るとのことだ。
ダンキンドーナツがカップの素材を変えたのはこれが初めてではない。実は2015年にプラスチックからリサイクル可能な発泡スチロールに変えたばかりだ。慢心せず、常により良い方法を模索し続けているという点においても、このファストフードチェーンの姿勢がどれほど真剣なものなのか窺い知れる。
同社の広報・持続可能な事業責任者のカレン・ラスコフ氏は「わが社の取り組みは、ファストフード業界全体の変革にも貢献出来ると確信しています。カップの切り替えはわが社のブランドだけではなく、業界全体においても極めて重要なことです。私たちは、ファストフードチェーンのビジネスにおけるさまざまな要素を改善し続けていく責任があります。」と述べた。
カップ素材の変更の他にも、ダンキンドーナツは環境に配慮したさまざまな改革を行ってきている。たとえばパッケージやメニューに使われているインクには人工染料を使わず、紙ナプキンの素材はリサイクル可能なものを選び、店内で提供するコーヒーの豆はサステナブルなコーヒー農家から調達するなど、環境に良いシステムを整えているのだ。
環境を破壊する廃棄カップを数億単位で減らすということで、全米で7,000店舗以上、世界でも29か国に展開するファストフードチェーンならではの規模感に改めて驚かされる。影響力のある大企業がこのような取り組みを継続的に行うことで、業界全体にも良いインパクトを与えるだろう。ダンキンドーナツの取り組みに敬意を表したい。
【参照サイト】Dunkin’ Donuts to Eliminate Foam Cups Worldwide in 2020
(※画像提供:Shutterstock)