新しい目を視覚障害者に。地下鉄の移動を手助けするアプリ「Metrociego」

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世界で目に障害を抱えている人は、WHO(世界保健機関)の2017年10月の統計によると2億3,300万人。そのうち3,000万人は盲人であり、2億1,700万人が中程度から重度の視力障害を抱えている。そんな目に障害を抱えている人のなかでも、毎日、仕事や学校に行くために、バスや地下鉄等の公共交通機関の利用者は多い。

特に地下鉄(以下メトロ)は日々、多くの人が乗り降りするものの、視覚障害者に対するメトロの乗り降りや、構内を移動する乗り換えは親切ではない場合もある。たとえば、メトロを降りた後のエスカレーターやエレベーターの位置、初めて降り立った駅の乗り換え口や出口までのルートの把握は難しい。

そのような現状で、視覚障害者がスムーズにメトロの利用ができるようにと開発されたのが、スペイン・マドリード発のスマホアプリ「Metrociego(メトロシエゴ)」である。

Metrociego

image via Metrociego

メトロシエゴはスマホのVoice Over機能を利用し、画面をタップしてメトロに関する音声解説を聴くアプリだ。音声解説では駅のエレベーター・エスカレーターの位置や、右折・左折のタイミング、さらには出口までのルートを教えてくれる。もちろん、降り立った駅によって音声は変わり、さらに次に行きたい乗り換え場所までも導いてくれる。

このアプリの開発者は、なんと20歳以下の学生2名だ。また、うち1人のミゲル・コエージョ(Miguel Coello)氏は、視覚変性疾患という障害を抱えている。メトロシエゴは、視覚障害者の実体験に基づいて開発されたアプリなのだ。

メトロシエゴ誕生のきっかけは、ミゲル・コエージョ自らがメトロを利用した経験だ。他の視覚障害者がメトロの乗り降りに困っていることに気づいたことから、メトロの乗り降りや乗り換えをスムーズにできるようなアプリの開発を思いついたという。他の視覚障害者の立場になって設計されているため、シンプルで使いやすい。

以下の動画は、実際にミゲル・コエージョがアプリを使い、マドリードのメトロ内を移動している様子である。

現在、メトロシエゴはマドリードのメトロ全域をカバーしている。これからのバージョンアップでは、スペイン国内の地下鉄を網羅する予定だ。また、現時点ではiOS版のリリースのみがされているが、Android版のリリースも進んでいるとのこと。

年々、増え続けるスペイン国内の観光客数に比例して、マドリードの地下鉄利用者も増える。今後は、視覚障害者も広く受け入れられる体制がますます必要になり、メトロシエゴの需要は拡大していくはずだ。視覚障害者がメトロを快適に使える未来は、そう遠くないかもしれない。

【参照サイト】Metrociego
【参照サイト】Vision impairment and blindness
(※画像:Metrociegoより引用)