優しい人ほど得をする。OKWAVEが目指す、感謝が通貨になる経済

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お金を持っている人が評価される社会と、親切な人が評価される社会。皆さんはどちらの社会で暮らしたいだろうか?

グローバル化とテクノロジーの進化により、世界人口の1%が富の82%を独占するほど格差が広がってしまった現代の資本主義社会を生きる私たちにとって、より魅力的に響くのは後者の選択肢だろう。

しかし、格差を広げたのがテクノロジーなら、それを埋めるのもまたテクノロジーだ。たとえば、AI(人工知能)により人々が長時間の労働から解放され、AIが生み出した富を再分配するベーシックインカムの仕組みが普及すれば、人々はより自由な時間を手にし、自分の好きなことのために働けるようになるかもしれない。

また、「価値のインターネット」とも言われるブロックチェーン技術の発展により、個人同士が「価値」を情報と同じように自由に交換できるようになれば、お金と価値のアービトラージは難しくなり、価値を生み出している人がお金を稼げないという状況もなくなるだろう。

それでは、その人の価値はどのように測るのか。その新たな指標となるのが、周りの人々からの「評価」だ。この「評価経済」とも呼ばれる新しい経済の形は、シェアリングエコノミーという名のもとで徐々に広がりつつある。

例えば、個人間で部屋を貸し借りできる民泊プラットフォームのAirbnbでは、ユーザー同士がお互いにつける評価が鍵を握る。最大限のホスピタリティでゲストをもてなし、高い評価を受けたホストは、プラットフォーム内で優遇され、より多くのゲストを迎えられる機会を得られるという仕組みになっている。

「お金を持っているかどうか」よりも「信用できるかどうか」が取引の決め手となるシェアリングエコノミーのような評価経済において求められるのは、お金に代わる信用の指標であり、価値の交換媒体なのだ。

その交換媒体として、「ありがとう」という感謝の気持ちを用いることができないか?そんな壮大なプロジェクトが、新たに日本で始まった。それが、日本最大級のQ&Aサイト「OKWAVE」を運営するオウケイウェイブ社が手がける、感謝を価値化する新たな経済圏「感謝経済プラットフォーム」だ。

「感謝経済プラットフォーム」開発の発表記者会見にて(4月4日)

評価経済の先にある「感謝経済」を実現する

オウケイウェイブが目指すのは、シェアリングエコノミーの台頭によりすでに現実化しつつある「評価経済」をさらに一歩進めた経済圏、「感謝経済」を実現するプラットフォームの開発だ。

感謝経済とは、言葉通り他人からの「ありがとう」が価値となり、その価値を他の価値と交換できる経済のことを指す。同社は、過去19年にわたり運営してきたQ&Aサイト「OKWAVE」に蓄積された3600万件のQ&Aと4700万件もの「ありがとう」に関するビッグデータを基盤とし、「OKWAVE」内で新たに感謝を定量化した独自トークンの「OK-チップ」を発行する。

OKWAVEのユーザーは、自分の悩みを解決してくれたり心に寄り添ってくれたりしたユーザーに対してトークンを贈り合うことができる。この仕組みにより、それぞれのユーザーがどれだけ人から頼りにされ、感謝されているのかがスコア化される。このスコアは外部企業が活用できるようにし、たくさんの「ありがとう」を集めたユーザーには経済圏の中で様々な優待が提供されるという仕組みだ。

具体的には、シェアリングエコノミープラットフォームやクラウドソーシング、人材や不動産事業などを手がける外部パートナー企業とのスコア共有が想定されている。例えばクラウドソーシングで仕事を受けるとき、スコアが高いほど優先的に仕事が任されるといった具合だ。

「ありがとう」を可視化する感謝指数

経済圏のなかでユーザーが獲得するスコアは「感謝指数」として可視化される。この感謝指数を算出するのはOKWAVEが独自開発する人工知能の「KONAN」で、会話力(Communication)、信頼性(Credibility)、貢献力(Contribution)、感応力(Comprehension)、礼儀(Courtesy)、常識力(Commonsense)、発想力(Conception)、そして協調性(Corroboration)という8つの指標(C8)に基づいてスコアリングされる。

KONANの特徴は、会話力や感応力など、悩みを解決するスキルや知識だけではなくユーザーの人間性にも力点を置いている点だ。例えばQ&Aのやりとりにおいては、ユーザーが困っているときに、正確な回答を伝えることよりも「それは大変でしたね」と一言添えることのほうが大事なこともある。このように「本当に感謝される人がどんな人なのか」を過去のユーザーの時系列データとコンテンツの質を掛け合わせることで算出する仕組みとなっている。

感謝指数に応じて配られる独自トークン「OK-チップ」

感謝経済圏の運用にはブロックチェーンが活用され、OKWAVEのユーザーには感謝指数に応じて独自トークンである「OK-チップ」が配られる。仮想通貨のビットコインでは、コインを採掘(マイニング)するための合意形成アルゴリズムとして「Proof of Work」(働いたことの証明)という仕組みが用いられているが、このPoWに例えるなら、OK-チップの場合はさしずめ「Proof of Kindness(親切さの証明)」といったところだろうか。人の悩みを解決したり親切にしたりして、より多くのありがとうを獲得した人が、感謝経済における長者となるのだ。

評価経済のデメリットを解決する「忘れるブロックチェーン」

オウケイウェイブが目指す経済は、人に優しくすればするほど得をする、とても理想的な社会に見える。一方で、こうした評価経済の実現がもたらす懸念もある。人からの評価がブロックチェーンに記録され、それが個人の信用スコアとして幅広く利用されることになれば、過去の信用スコアが機会の差を生み出し、結果として新たな格差を生み出しかねない。

ブロックチェーンに記録できるのは過去の履歴だけであることを考えると、一度の失敗やミス、約束の不履行などがその後の人生を大きく左右しかねず、再チャレンジが難しい窮屈な社会となるリスクもある。

その解決策として兼元氏が語るのは、「忘れるブロックチェーン」というアイデアだ。同氏は、「インターネットはグローバルブレイン(世界の脳)と言われるが、脳の一番の機能は忘れることだ。ブロックチェーンにおいても、とっておくものととっておかないものを分けてはどうかという点を話し合っている」と語る。

今後は多くの企業と提携し、経済圏を拡大していく

オウケイウェイブは既に企業向けにQ&Aサイトの構築ソリューションを提供しているが、この感謝経済プラットフォームにおいても、多くの企業と提携しながら経済圏を拡大していくという。同社が算出する感謝指数のスコアデータは、今年の7月中には外部企業も利用できるようになる予定だ。

OK-チップの使い道は様々だ。例えば企業では一般的に成果が数字で見えやすい営業やマーケティング担当などは評価しやすいが、事業を影で支えるカスタマーセンターのスタッフなどの評価は難しい。しかし、OK-チップを導入し、顧客からの「ありがとう」を可視化することで、本当に価値を出している人材がしっかりと報われる仕組みを提供できるようになるという。

まとめ

感謝という目には見えない価値を可視化し、通貨として機能させることでより幸せな社会を創る。オウケイウェイブ社のビジョンに共感する人も多いだろう。

今後数十年以内にAIが人間の仕事に取って代わると言われている現代において、私たちがAIと共存する幸せな社会を創るために考えなければいけないことは、人工知能に「どんな人を評価するべきか」を正しく伝えることだ。

お金を稼ぐ能力がある人を評価すると伝えるか、人から感謝される人を評価すると伝えるかで、人工知能が作り出す未来は全く違ったものになるだろう。

オウケイウェイブが過去に蓄積してきた4700万もの「ありがとう」を搭載したAIの「KONAN」がこれからどのような「感謝経済」を作り出せるかは、私たちユーザー一人一人の行動にもかかっている。

【参照サイト】THANKS ECONOMY ありがとうをカタチに!いいことをした人がより報われる社会「感謝経済プロジェクト始動」